脂肪吸引のリバウンドについて、ほとんどの人がしている勘違い
脂肪吸引で取り除いた脂肪細胞が再生することはありません。ですから文字どおりの意味では、脂肪は戻りません。ただ、手術のあとで体重が増える患者さんはいますし、増えた分はどこかに蓄えられます。行き先になるのは、手術していない部位です。取り除いた脂肪細胞が一個も再生していないのに時間とともに見た目が崩れていくことがあるのは、これが理由です。
この話題のカウンセリングは、ほとんどが間違った前提から始まります。患者さんは「効果は永続的だ」という安心を求め、術者もそう答えます。技術的には本当のことだからです。語られないのは、もっと役に立つほうの事実です。脂肪吸引は、体が次の3キロをどこに蓄えるかを永久に変えてしまいます。この変化を理解しているかどうかが、10年もつ結果と、18か月で静かに崩れていく結果を分けます。
脂肪吸引の後に脂肪は戻るのか
戻りません。脂肪吸引で取り除いた脂肪細胞は永久に失われます。成人の体は脂肪細胞を作り直さないからです。手術後に戻った体重は、残っている脂肪細胞が大きくなることで蓄えられるのであって、治療した部位に新しい細胞ができるわけではありません。
この区別が大事なのは、変化のパターンを予測できるからです。もし新しい脂肪細胞が好きな場所にできるなら、治療したお腹はいずれ治療前と同じ見た目に戻るはずです。そうならないので、お腹には貯蔵能力の欠損が恒久的に残り、余剰分は別の場所へ押し出されていきます。患者さんはこれを「脂肪が移動した」と表現しますが、実際に何かが移動しているわけではありません。ただ、目に見えている変化の説明としては的を射ています。
脂肪細胞は再生するのか、それとも残った細胞が大きくなるだけなのか
残った細胞が大きくなるだけで、新しい細胞は増えません。脂肪細胞の数は成人早期にほぼ固定されます。ですから成人の体は、余ったエネルギーを、すでにある細胞を膨らませることで受け止めます。
核実験由来の炭素14を使って脂肪細胞のDNAの年代を測定した画期的な研究では、痩せた人でも肥満の人でも、成人期を通じて脂肪細胞の総数は一定に保たれることがわかりました。大幅な減量の後ですら変わりません。脂肪細胞のおよそ10%は毎年入れ替わっていますが、総数そのものは守られています。
この知見が意味するのは、手術に直結する一点です。吸引は集団から細胞を取り除きますが、体はその場所で数を回復させません。マウスの脂肪組織の増殖を数理モデル化した研究では、脂肪パッドの重量増加の主役は肥大であることが示されました。新しく動員された細胞は小さく始まるため、容積にはほとんど寄与しません。肥大とは、既存の細胞が脂肪を蓄えて膨らむことです。人間の脂肪細胞数は一定に守られているので、成人の体重増加を受け止めているのはこの膨張です。
このふたつを合わせれば、しくみは単純です。手術を生き延びた脂肪細胞は、元の数倍の容積まで膨らみます。細胞の数が減った部位は、細胞がそろっている部位より長く変化に抵抗します。ただ、変化と無縁ではありませんし、今後も無縁になることはありません。

脂肪吸引の後に太ったら、その体重はどこへ行くのか
戻った体重は、吸引していない部位に優先的に蓄えられます。肥満でない女性32人を対象としたランダム化比較試験では、体脂肪が6週の時点で2.1%低下しました。ところが1年後には、治療していない対照群と同じ水準に戻っています。再分布は吸引していない部位に集中して起きたことも示されました。とりわけ上腹部、次いで肩と上腕三頭筋の領域です。治療した太ももだけは、1年後も細いままでした。
もうひとつ、目に見えにくいパターンもあります。標準体重の女性36人に小容量の腹部脂肪吸引を行ったランダム化試験では、運動しなかった群で6か月までに内臓脂肪が約10%増加しました。同時に、エネルギー消費の測定可能な低下も見られています。4か月のトレーニングプログラムに割り付けられた群では、この増加は起きませんでした。内臓脂肪は腹壁の奥にあり、見ることも摘まむこともできません。ですから、どこも太っていないと本人が言い切っている間に、ウエストの周囲径だけがじりじり増えていきます。
はっきり書いておきます。ここまでの話は、脂肪吸引が信頼できる代謝治療になることを意味しません。この問いについて最も条件を管理した研究では、肥満女性15人からおよそ10キロの脂肪を除去しました。筋肉・肝臓・脂肪組織のインスリン感受性を、C反応性タンパク、インターロイキン6、血圧、脂質値とともに測定しています。10〜12週の時点で、これらの指標のいずれにも有意な改善は認められませんでした。もっと大きな吸引量を扱った後年の研究では、脂質や血糖の測定値にわずかな変化が報告されているので、正直にまとめるならこうです。皮下脂肪を取れば体の形は確実に変わります。ただ、実際に減量したときの代謝上の利益まで確実に得られるわけではありません。

何キロ太ると脂肪吸引の結果が崩れるのか
治療した部位によってまったく異なるふたつの閾値があり、患者さんはこれをほとんど教えられていません。私の診療では、首とあご下は2〜3キロ程度の増加で変化が出始めます。お腹や太ももなど首から下はもっと余裕があり、輪郭がぼやけ始めるのはたいてい5〜7キロあたりです。
この数字が何を意味するかは、誤解されやすいので正確に述べておきます。脂肪が戻った時点ではありません。鏡を見た患者さんが「何か変わった」とわかる時点です。生物学的な逆戻りよりずっと手前の基準です。しかも、手術を受けてよかったと感じられるかどうかを実際に決めているのは、こちらの基準のほうです。
公表データもこの全体像を支持しています。1999年から2003年に手術を受けた脂肪吸引患者600人に郵送し、209人から回答を得た調査では、43%が手術後に体重が増えていたと報告されています。その多くは5〜10ポンド、およそ2〜4.5キロで、6か月時点の測定です。体重が増えなかった群では35%が運動を増やし、50%が食事を改善したと回答しました。ところが増えた群では、それぞれ10%と22%にとどまっています。増えた群の3分の2は、食生活をまったく変えていませんでした。
ひと目でわかる:体重が戻ったときの顔と体の違い
| 首とあご下 | お腹、脇腹、太もも | |
|---|---|---|
| 通常の吸引量 | 30〜60mL | 1,500〜4,000mL |
| 局所の脂肪細胞を除去する割合 | 意図的に少なめ | 多め |
| 変化が見えるまでの体重増加 | 2〜3kg | 5〜7kg |
| 服で隠せるか | 隠せない | たいてい隠せる |
| 輪郭の誤差の許容幅 | ごく小さい | 中程度 |
| 皮膚の引き締まりへの依存度 | 高い | 中程度 |
| 患者が最初に気づく場所 | ほぼ必ずこちら | 遅れて、しかも漠然と |

なぜお腹より先にあごに出るのか
患者さんは体重の戻りをまず顔で自覚します。意外に思われるのは、顔が脂肪の大半の行き先ではないからです。絶対量でいえば、首から下のほうがはるかに多くを吸収しています。それでも、最初に知らせてくるのは首です。
ここでは3つの要因が重なります。ひとつ、あご下はもともと意図的に控えめにしか治療していません。首を強く吸引すると、こけて骨ばった印象になり、あらゆる凹凸があらわになるからです。お腹に比べれば、その部位の脂肪を取る割合はかなり小さくなります。残る脂肪細胞はその分多く、残った細胞は膨らめます。
ふたつ、首を覆うものが何もありません。あご下の脂肪が2ミリ厚くなれば、患者さんは首を回すたびにそれを目にします。同じ2ミリでも、お腹ならどんな服の下にも消えます。
みっつ、首は誤差の許容幅がどちらの方向にも極端に狭い部位です。フェイスラインの輪郭は、くっきりした影の線一本の問題であり、その下にある脂肪のわずかな変化が、下顔面全体を引き締めもすればぼかしもします。フェイスラインのために手術を受けた人は、この種の変化に体でいちばん敏感な場所を毎日見ています。早く気づくのは当然です。
公表されている再分布のデータとの整合は、ふたつの尺度を分けて考えれば簡単につきます。DXAやMRIによる容積の研究は、脂肪が実際にどこに蓄積するかを測っていて、上腹部、腕、肩を指し示します。臨床での観察は、患者さんがどこで最初に気づくかを測っていて、その答えは顔です。どちらも正しく、答えている問いが違うだけです。
私はどう脂肪吸引を行うか:層、カニューレの太さ、意図的な取り残し
私は深層と中間層を扱い、真皮直下の浅層はできるかぎり触れずに残します。好みの問題ではありません。浅層を温存することが、へこみ、波打ち、さざ波状の凹凸を防ぎます。この凹凸は、元の膨らみよりはるかに直しにくいものです。皮下脂肪を浅筋膜系で隔てられた別々の層として扱うという考え方は、1990年代半ばから確立された解剖学です。この層構造を記述した術者たちは、皮膚の引き締まりを高めるために、真皮直下をあえて吸引することを支持していました。私はその文献を知ったうえで、通常の症例では採用しないと決めています。引き締まりの上乗せは限られているのに、失敗したときの代償が、あとから戻せる問題ではなく恒久的な表面の凹凸だからです。
カニューレは、お腹、脇腹、太ももでは3〜5mmを使います。腕、膝、ふくらはぎでは3mmに落とし、顔と首では2.0〜2.5mmを超えません。細いカニューレは脂肪を取るのが遅く、首ではその遅さこそが狙いです。脂肪吸引を受けた患者さんの最大9%が輪郭の変形を報告しています。より細いカニューレを使うことと浅層を避けることが、標準的な予防策の筆頭です。これに、小さな刺入口を複数作って交差させながら吸引すること、そして脂肪融解、つまり手術で傷んだ脂肪細胞が自然に壊れていく分を見込んでわずかに取り残すことが続きます。

麻酔液は標準的なチュメセント法の処方どおりです。生理食塩水1リットルにリドカイン500〜1,000mg、1:1,000のエピネフリン1mg、炭酸水素ナトリウム12.5mEqを加えます。最終的なリドカイン濃度は0.05〜0.1%、エピネフリン濃度は1:1,000,000です。注入量は、吸引しようとする量1mLあたりおよそ3〜4mLです。1回のセッションでの総吸引量は5,000mL以内に抑えます。ASPSは、脂肪と液体を合わせた総吸引量が5,000ccを超えるものを急性期病院または認定施設で行うべき大容量脂肪吸引と定義し、バイタルサインと尿量を一晩監視するよう求めています。ただしこの勧告自体、絶対的な上限量を示すデータは存在せず、吸引量と治療部位の数が増えるほどリスクが上がることだけがわかっている、と率直に認めているのです。ですから私にとってこの5,000mLは、規則ではなく実務上の上限です。
首では、取れる量よりも意図的に少なく取ります。わずかに取り残すことは、どの術者も必ず学びます。傷んだ脂肪細胞はその後も数週間にわたって壊れ続け、その部位は自然にもう少し縮むからです。顔では、私はその余白を教科書より広めに取っています。3か月の時点でまだ少しふっくらしている首なら、小さな二回目の処置で修正できます。しかし、えぐれてしまった首、頸部の筋肉の縦の索状物が透けて見え、皮膚が下顎骨に張りついてしまった首は、修正できないことが多いのです。戻せる失敗と戻せない失敗の差が、この判断を決めています。
ベイザーが従来の脂肪吸引より優れるのはどんなときか
私は大半の症例を従来の吸引補助脂肪吸引で始め、次の4つの場面で超音波を使います。カニューレの手応えが線維質のとき、そして過去の手術による癒着のある術野を扱うときです。皮膚の引き締まりを少しでも稼ぎたいとき、そして筋肉の輪郭に沿ったハイデフィニションの彫り込みが目的のときも同様です。
最もはっきりした適応は線維質の組織です。女性化乳房の男性の胸の組織や、上背部の硬い脂肪はただのカニューレでは歯が立たず、無理に押し通せば滑らかに取れるどころか層が不均一になります。超音波は先に脂肪を乳化します。女性化乳房を対象とした45人の3群比較試験では、乳頭の裏側にある硬い組織の減少量が、従来の脂肪吸引単独に比べて超音波併用でおよそ3〜4倍になりました。同じ試験で測定された皮膚の硬さが有意に改善したのは、皮膚引き締めの機器、ヘリウムプラズマ高周波を別途追加した場合だけです。超音波だけでは皮膚は締まりませんでした。この技術の宣伝文句を、そのまま受け取らないほうがよい理由です。
正直に述べておくべき限界がひとつあります。患者さんはしばしば逆のことを聞かされているからです。私の診療では、どの方式の脂肪吸引も硬い乳腺組織を確実に取り除くことはできません。真の乳腺成分がある場合は、機器が溶かしてくれることを期待するのではなく、切除を計画します。皮膚引き締めのエネルギーを追加すれば二期的な切除の必要が減ると報告しているグループもあります。そうした術者の手元では、実際にそうなのかもしれません。私自身の切除の閾値は変わっていません。超音波が変えるのは脂肪の振る舞いであって、乳腺組織が何であるかではありません。
皮膚がすでにたるんでいても脂肪吸引はできますか
できます。ただし、得られるのは解決ではなく引き換えです。手術の前にそう理解しておく必要があります。首の皮膚がゆるんでいて脂肪吸引だけを希望する患者さんを、私は自動的にお断りすることはしません。一般的な助言とは違うことも承知しています。代わりに私がするのは、リスクを明示的に伝え、患者さんがそれを自分の言葉で私に言い返せることを確認してから進めることです。
理由は単純です。皮膚の弾力は、脂肪を取った後の首の見た目を左右する最も強い予測因子です。弾力を失った皮膚は、新しくできたフェイスラインの上で縮んではくれません。垂れて落ち着きます。そういう患者さんに「手術は不可能です」と言うのは正確ではありません。脂肪は確かに取れますし、その引き換えに納得する患者さんもいるからです。何も言わずに手術してしまうのは、弁解の余地がありません。
ですから会話は具体的になります。皮膚は30歳のときのようには縮みません。フェイスラインはよりシャープになりますが、ゆるんだ皮膚の袋は垂れるかもしれません。そうなった場合の修正は、追加の脂肪吸引ではなくネックリフトやディーププレーンリフトです。皮膚の袋そのものへの手術を完全に避けたい患者さんには、エネルギー機器による引き締めが部分的な選択肢になりますが、結果もそれ相応に部分的です。そこまで理解したうえで、それでも脂肪を取りたいという患者さんは、情報に基づいた判断をしています。私はその前提でなら手術します。
自分はどのタイプに当てはまるか
体重が安定していて輪郭を整えたい人。 1年以上、体重が2キロほどの幅に収まっていて、気になるのは全体のサイズではなく特定の一箇所、皮膚の質も良好。このグループの結果がいちばん長持ちし、体重の戻りについての話はほぼ予防的なものになります。
最近、大きく減量した人。 体重は落ちたが形がついてこず、残りを手術で仕上げたいという気持ちが強い。ここでの論点は適応ではなくタイミングです。体重が安定する前に手術するのは、まだ変化している体の輪郭を整えることになります。
脂肪吸引を減量として使おうとしている人。 このグループの問題は体の構造ではなく期待値です。脂肪吸引は代謝疾患の治療ではなく、輪郭を整える手術です。食事と活動のパターンが変わらない患者さんこそ、手術後に体重が増えたと報告する側に回りやすくなります。
あご下だけが気になる人。 関心はフェイスラインと、日本で二重あごと呼ばれるあご下のふくらみに限られ、変化への許容度はどのグループより低い。2〜3キロで出てしまうからです。ここでの現実的なカウンセリングは、手術の話と同じくらい体重維持の話になります。気になる脂肪が十分小さければ、手術よりもマイクロ波によるボディ輪郭形成のような非手術的な選択肢のほうが合うこともあります。
ダウンタイムはどれくらいで、いつから運動を再開できるのか
圧迫は最初の2〜3週間はほぼ24時間、その後6週間ごろまでは終日着用し、腫れが落ち着くにつれて減らしていきます。活動は最初の2週間の穏やかなウォーキングから始め、3〜4週で軽い有酸素運動、5〜6週で中等度の運動、6週を過ぎたら制限なしのトレーニングへ進みます。腫れにはそれ自体のより長い時間軸があり、最終的な輪郭が見えるのは3〜6か月後です。
運動の再開時期は、付け足しのように語られがちです。ところがエビデンスは、これを中心に置いています。6週後の運動再開は、単に日常生活に戻ってよいという許可ではありません。腹部脂肪吸引を受けた女性を対象としたランダム化試験では、座りがちのまま置かれた群が6か月までに代償性の内臓脂肪増加を起こしました。ところが、4か月のトレーニングに割り付けられた群では、これが起きませんでした。運動は、最も見えにくく最も代謝に不利な形のリバウンドを防ぐ介入なのです。
6週は、患者さんが運動してもよくなる時点ではありません。運動する必要が生じる時点であり、手術の結果はそこに依存していて、どんな圧迫着でも代わりにはなりません。

執刀医の視点:2〜3キロという数字は、日程を決める前に伝える
2〜3キロという数字は、日程を決める前のカウンセリングで必ずお伝えしています。それを聞いて手術をやめる方も、毎年何人かいらっしゃいます。私にとっては、逃した患者ではなく良いカウンセリングです。冬と夏で体重が5キロ動く方は、脂肪吸引全般に向かないわけではありません。あご下の脂肪吸引に特に向かないだけです。この区別は、1年後に一緒に気づくのではなく、最初に口に出しておく価値があります。体重が動く方でも、お腹の結果なら長く保てます。フェイスラインは、同じ5キロを許してくれません。
脂肪吸引のリスクと合併症は
輪郭の凹凸は患者さんが最も恐れる合併症であり、手技と最も強く結びついた合併症でもあります。原因は主にふたつ、浅すぎる層を吸引することと、太すぎるカニューレを使うことです。どちらも、元の膨らみよりかなり直しにくい波打ちを生みます。クロストンネリング、つまり各部位に複数の小さな刺入口から異なる角度で入る方法は、均一な除去と制御された結果に不可欠だとされています。
漿液腫、長引く腫れ、一時的な感覚の鈍さはよくあることで、自然に治まります。容量に関連したリスクは手術の規模とともに上がります。平均吸引量7,735mLの大容量脂肪吸引患者3,583人を対象とした系統的レビューでは、重大な合併症が3.35%、軽微な合併症が11.62%でした。内訳は漿液腫5.51%、肺塞栓症0.18%、深部静脈血栓症0.12%で、死亡例は記録されていません。この著者らは、利用できるエビデンスがランダム化ではなく観察研究であることに注意を促しています。
皮膚のたるみは、合併症というより、隠れていた状態があらわになったものです。ゆるんだ皮膚の袋を満たしていた脂肪を取り除いても、袋そのものは締まりません。事前にこの説明を受けていた患者さんは、これを手術の失敗ではなく、想定内の引き換えとして受け止めます。
代わりに問うべきこと
脂肪は戻るのかという問いは、組織についての問いです。もっと役に立つのは、人についての問いです。これから5年、私の体重はどう動くのか、そして私の体は増えた体重をどこに置くのか。
このふたつの答えのほうが、手術のどんな技術的な詳細よりも、脂肪吸引の結果がどれだけ持つかをよく予測します。何年も体重が安定していて定期的に運動している人は、輪郭をかなり長く保てます。これから変化の時期に入る人は、手術が変化を防いだのではなく、変化の行き先を変えただけだったと気づきます。
決め手は、脂肪細胞の生物学ではありません。手術の技術は、最初の仕上がりが滑らかかどうかを決め、その部位の貯蔵能力がどれだけ失われるかを決めます。ただ、その後に患者さんが何をするかまでは決めません。永続性を約束するのではなくこのことを説明してくれるかどうかが、術者を見極める材料になります。
執筆:イ・ヨンウ医師、韓国VIP美容外科の形成外科専門医。顔面解剖と美容外科手術を専門とする。
よくある質問
脂肪吸引の後に脂肪は戻りますか?
治療した部位には戻りません。脂肪吸引で取り除いた脂肪細胞は再生しません。脂肪細胞の数は成人期には固定されているからです。その後に増えた体重は、残っている脂肪細胞が大きくなることで蓄えられ、その大半は一度も吸引していない部位に行きます。
何キロ太ると脂肪吸引の結果が台無しになりますか?
部位によります。首とあご下は2〜3キロ程度で変化が出始め、お腹と太ももは一般に5〜7キロまでは輪郭がぼやけません。これは変化が目に見えるようになる閾値であって、生物学的に元へ戻る閾値ではありません。
脂肪吸引の後に太ったら、脂肪はどこにつきますか?
治療していない部位です。ランダム化試験では、1年以内に上腹部、腕、肩へ集中して再分布することが示されました。治療した太ももは1年後も細いままだった一方、お腹で得られた減少は消えていました。運動しない患者さんでは、内臓脂肪の代償性の増加も起こります。
体の脂肪吸引をしたのに顔がふっくらして見えるのはなぜですか?
顔は、服で隠れる部位より早く体重の変化を知らせるからです。首は設計上あえて控えめに治療され、隠す衣服もなく、輪郭がフェイスラインの影一本に依存しています。ですから、戻った脂肪の大部分は別の場所へ行っているのに、あご下のわずかな増加がすぐ目につきます。
治療した部位に脂肪細胞が再生することはありますか?
成人期に脂肪細胞の数は増えないので、治療した部位に新しい細胞が入り込むことはありません。脂肪細胞のおよそ10%は毎年入れ替わりますが、総数は増えるのではなく一定に守られています。
脂肪吸引の効果は永続的ですか?
脂肪細胞の除去は永続的です。見た目が永続することは保証されません。全身に残っている細胞は体重増加で大きくなりうるので、体型のバランスは時間とともに変わります。
脂肪吸引は健康や代謝を改善しますか?
確実には改善しません。最もよく管理された研究では、肥満女性の腹部脂肪吸引後にインスリン感受性、炎症マーカー、血圧、脂質値を測定し、10〜12週の時点で有意な改善は見られませんでした。はるかに大容量の手術を扱ったレビューでは脂質と血糖の測定値にわずかな変化が報告されていますが、脂肪吸引は代謝疾患の治療ではなく輪郭を整える手術と理解してください。
脂肪吸引の後、圧迫着はどれくらい着ますか?
最初の2〜3週間はほぼ24時間、その後6週間ごろまでは終日、以降は腫れの引き具合に応じて減らしていきます。正確な期間は、吸引量と治療した部位によって変わります。
脂肪吸引の後、いつから運動できますか?
最初の2週間は穏やかなウォーキング、3〜4週で軽い有酸素運動、5〜6週で中等度の運動、6週を過ぎたら制限なしのトレーニングです。運動の再開は、多くの患者さんが思っている以上に結果を左右します。ランダム化試験では、座りがちのまま過ごした群に代償性の内臓脂肪増加が生じ、運動した群には生じませんでした。
脂肪吸引の前に目標体重まで落とす必要がありますか?
特定の数字より、体重が安定していることのほうが大事です。体重が動いている最中に手術すれば、まだ変化している体の輪郭を整えることになり、結果が読みにくくなります。手術前に数か月安定していると、最も信頼できる結果が得られます。
ベイザーと従来の脂肪吸引は何が違いますか?
ベイザーは吸引の前に超音波で脂肪を乳化します。線維質の組織、瘢痕のある修正の術野、皮膚の引き締まりをある程度得たい場合、そして筋肉の輪郭に沿ったハイデフィニションの彫り込みで役に立ちます。柔らかい脂肪の単純なボリューム減少であれば、従来の吸引補助脂肪吸引で足りることがほとんどです。
脂肪吸引でたるんだ皮膚は引き締まりますか?
確実には引き締まりません。皮膚の縮みは、その皮膚に残っている弾力次第です。ゆるんだ袋から脂肪を取れば、たるみがかえって目立つこともあります。たるみが強い患者さんは通常、脂肪の除去に加えて、あるいはその代わりに、リフト手術かエネルギー機器による引き締めが必要になります。
1回の手術でどれくらいの脂肪を取れますか?
標準的には、1回のセッションでの総吸引量を約5,000mL以内に保ちます。それを超えるものは大容量脂肪吸引に分類され、急性期病院または認定施設で、バイタルサインと尿量を一晩監視しながら行うべきとされています。絶対的な上限量を示す公表データはありません。わかっているのは、吸引量と治療部位の数が増えるほどリスクが上がる、ということだけです。
でこぼこや左右差が出ることはありますか?
輪郭の凹凸は最も多い整容上の合併症で、大部分は手技によって決まります。真皮直下の浅層脂肪を温存すること、細いカニューレを使うこと、複数の刺入口から交差させて吸引すること、そしてわずかに取り残すことが、標準的な予防策です。
脂肪吸引の後に妊娠したら脂肪は戻りますか?
妊娠には大きな体重変化と、脂肪の分布を変えるホルモンの変化が伴うので、体型のバランスは変わります。治療した部位は残っている脂肪細胞が少ないので、治療していない部位より増えにくい傾向はありますが、手術で得た全体の輪郭がそのまま保たれる可能性は低いです。
脂肪吸引で取った脂肪は脂肪注入に使えますか?
吸引した脂肪は処理して移植でき、実際に一般的に行われています。移植した脂肪の生着はそれ自体の生物学を持つ別の問題で、注入した脂肪はどれだけ生着するのかで詳しく扱っています。
この記事は情報提供を目的としたもので、医学的な診断や助言に代わるものではありません。手術および施術の判断は、必ず資格のある医師にご相談のうえ行ってください。
