入れすぎたと感じたら、溶かせば元に戻るのか
溶かしても、以前の顔には戻りません。これが最初に正しておきたい点です。
ヒアルロニダーゼ(hyaluronidase)は、いま入っているヒアルロン酸を分解しますが、その間に過ぎた時間を巻き戻すことはできません。出てくるのは、フィラーを入れ始める前の顔ではなく、何年か分の変化を通過したあとの顔です。記憶のなかの顔と比べると、たいていは老けて見え、輪郭は緩んでいます。それは年数が経ったからでもあり、フィラーで下から押し出されていた皮膚が、必ずしも元の位置に戻らないからでもあります。
だからこの相談は、溶かすか溶かさないかで考えると間違えます。溶かすことと引き上げることは対立する選択肢ではなく、順序の話です。どちらを先に置くかで、手術の難しさも、仕上がりも変わります。
そしてもうひとつ、はっきりさせておきたいことがあります。多くの方が「前に入れた分はもう消えている」という前提で次の1本を予約しますが、その前提は、ほぼ成立していません。まずここから書きます。
本当の問いは溶かすかリフトかではなく、そのフィラーが何をしていたか
問うべきなのは、いま顔に入っているものがボリュームの不足を埋めているのか、それとも下がってきた組織の埋め合わせに使われているのかです。この区別がつかないまま溶解や追加を繰り返すと、どちらの処置も空振りに終わります。
顔のボリュームが本当に減っているなら、フィラーは正しい道具です。加齢で脂肪の区画が痩せ、骨の土台が後退し、皮膚がまだ張っている30代なら、失われた分を戻す意味はあります。この場合はフィラーを否定する理由がありません。
厄介なのは、下がってきた顔にフィラーが使われた場合です。垂れ下がった組織は支えを失っていて、注射器で届く層にはありません。そこにボリュームを足すと、重さだけが増え、輪郭は横に広がり、動きが鈍くなります。この状態を放置してさらに追加すると、問題は深くなります。溶解は下垂そのものを解決しません。下垂を、見えるようにするだけです。
つまり、溶かすかリフトかという問いを立てた時点で、まだ一段浅いところにいます。そのフィラーが何を埋めていたのか。答えがボリュームなら追加の余地があり、答えが下垂なら注射器は関係ありません。
フィラーはなぜ消えていないのか
案内される6〜12か月という数字は、見た目の効果が続く期間であって、材料が体内から無くなる期間ではありません。このふたつを同じものだと思うことが、入れすぎた顔のほとんど唯一の入り口です。
中顔面をMRIで追った研究のレビューでは、撮影されたすべての患者にヒアルロン酸が検出されました。2年の観察期間で完全に消失した例はひとつもなく、8〜15年が経った患者の顔からも確認されています。詳しい内容は、中顔面のMRI研究をまとめたレビューにまとまっています。長く残った例として報告されているものには、何年も経ってから検出された症例報告もあります。
ここで起きているのは、案内された期間と実際の残存期間のあいだの隔たりです。患者は「1年で消える」と理解し、1年後にまた座ります。ところが前の分は、薄くなってはいても、そこにあります。これを年2回、6年続けたとすると、そのすべてが同じ顔に積み重なっていきます。

蓄積は、入れすぎた顔のほとんど唯一の仕組みです。1回の注入が多すぎたことが原因の顔は、実際には少数です。ほとんどの方は、適量を、何年も、繰り返し入れてきた結果として、いまの顔になっています。
顔はどうやって「入れすぎ」の状態になるのか
支えられる以上の製剤を抱えた顔を、臨床の場では顔面過剰充填症候群(Facial Overfilled Syndrome)と呼びます。重く、横に広く、輪郭がぼやけた見た目で、動いたときにいちばん強く出ます。これは好みの問題でも、1回の失敗した注入の問題でもありません。顔面過剰充填症候群についての臨床レビューが挙げている仕組みは、主に3つです。
ひとつは、収まらない区画にボリュームが置かれることです。顔の脂肪は、それぞれの区画の中でしか自然に動きません。隣の区画に注入された分は、その区画の輪郭を越えて広がり、頬と目元の境目、フェイスラインと首の境目をぼかしていきます。フィラーの配置と区画のミスマッチを論じた解説は、この点を解剖のレベルで説明しています。唇でこの広がりが最初に気づかれることが多いのは、唇の区画が小さく、輪郭がはっきりしているからです。フィラーの移動とそれが生むアヒル口は、その典型的な結果です。
ふたつめは、表情筋の制限と皮膚の伸展です。入れた量が増えるほど、笑うときに必要な組織の動きが出にくくなります。ご本人が感じている「笑うと自分の顔ではない」という違和感は、この制限から来ていることが少なくありません。
みっつめは、過去の施術の蓄積です。これは先の節で書いたとおりで、いまの顔は1年分ではなく、これまでの合計でできています。
そして4つ目の結果があり、手術が必要になるかどうかを決めるのはこちらです。フィラーは場所を占め、皮膚はその上にかぶさっています。フィラーを取り除くと、覆われていたボリュームがなくなるので、その皮膚は急に余ります。若く弾力のある顔ならかなり縮んで戻りますが、10年にわたってフィラーの下で老化してきた顔では戻らず、もともと余っていた皮膚がそのまま残ります。
選べる3つの選択肢と、それぞれが実際にすること
大きく分けると、選べる道は3つです。ヒアルロン酸を追加する、溶かすだけにする、溶かしてからリフトする。どれが正しいかは術式の好みでは決まらず、いまの顔が抱えている問題が何かで決まります。
ヒアルロン酸を追加する
ボリュームが減り、皮膚がまだ張っている顔には、この選択に意味があります。加齢で痩せた区画を戻し、骨の土台を補い、肌の質感を整える。フィラーが得意とする仕事です。
逆に、下がってきた顔に足すと、たいてい重くなります。支えの外れた組織に重さが加わり、輪郭はさらに広がります。追加が効いているのか、追加で隠しているのかは、触ったときの組織の硬さと、笑ったときの動きに出ます。
溶かすだけ
入れすぎだが、支えはまだ保たれている顔に向きます。ヒアルロニダーゼで過剰な分を取り除くと、顔は軽くなり、輪郭の境目が戻ります。
ただし、溶かしたあとに現れるのは、思っていたより老けた顔であることが少なくありません。フィラーが押し出していた皮膚が行き場を失い、いままで見えていなかったくぼみが表に出るからです。それでも得られるものはあります。正確な顔です。どこに何が残っていて、どこが本当に痩せているのかが分かる状態でなければ、次の計画は立てられません。
溶かしてから、リフトする
入れすぎに緩みが加わった顔には、この順序になります。先にフィラーを減らし、皮膚の余りが最大になったところでリフトし、手術中にご自身の脂肪でボリュームを戻します。
順序を逆にすると、リフトの効果が続きません。これは後で詳しく書きます。
一覧で比較
| ヒアルロン酸を追加 | 溶かすだけ | 溶かしてからリフト | |
|---|---|---|---|
| 何を治すか | ボリューム不足 | 過剰なフィラー | 下垂と余った皮膚 |
| 下垂への効果 | なし。むしろ重さが増える | なし | 改善する |
| 向いている顔 | ボリュームが減り皮膚が張った顔 | 入れすぎだが支えは保たれた顔 | 入れすぎに緩みが加わった顔 |
| 直後の見え方 | ふっくらするが、たいてい重くなる | 思っていたより老けて見える | 引き上がり、軽くなる |
| 元に戻せるか | 聞かされていたほどは戻せない | また入れることでしか戻らない | 戻らない。良い意味で永続的 |
| そのあとのボリューム | 過剰 | 不足しがち | ご自身の脂肪で戻す |
何年も注入した顔を開いたときに、私が実際に見ているもの
この節は、私が手術室で見ているものをそのまま書きます。何年もフィラーを入れ続けた顔は、フィラー歴のない顔とは、触った時点で違います。
フィラーは大人しく溶かされるのを待たない。剥離する層の中にある
繰り返し注入された顔をリフトすると、大半の症例で、剥離の途中でフィラーそのものに出会います。ヒアルロン酸フィラーは、入れた場所にそのまま留まる物質ではありません。時間が経つと周囲の組織に馴染み、同時に軽い炎症を繰り返し、その周りに線維化と、ときに肉芽腫性反応を作ります。この変化は、フェイスリフトで剥離する層のちょうど中に起こります。線維化と肉芽腫性反応が剥離を難しいものにするという指摘は、まさにこの状態を扱っています。
米国美容外科学会(The Aesthetic Society)の会員を対象にした調査では、顔全体のフィラー歴がフェイスリフトの難易度を上げると答えた術者が51.9%いました。実際に経験したこととしては、手術後もフィラーが触れたり見えたりしたという回答が32.7%、リフトの効果が長続きしなかったという回答が9.6%ありました。剥離が難しいということは、それだけ時間がかかり、出血が増え、組織を傷つける可能性が上がるということです。血腫はフェイスリフトで最も多い重い合併症で、止血ネットによる血腫の予防については別の記事で詳しく書いています。フィラーは、将来の手術に対して何も残さないわけではありません。

最初の1本を検討している方には、この点を先に伝えています。いま入れるかどうかではなく、10年後にその顔を手術する人が、いまより難しい仕事を引き受けることになる、という話です。
私が手術の前に溶かす理由
まとまった量を入れてきた方には、手術の前にフィラーへ直接ヒアルロニダーゼを注入して溶かすことをお願いしています。これは手順の好みではなく、手術の安全性と精度の問題です。
ヒアルロニダーゼの濃度は、1ミリリットルあたり150単位が最もよく使われるという報告があります。実際には、入っているフィラーの量と架橋(cross-linked)の強さに合わせて十分な量を決め、何回にも分けずに1回で溶かします。ただし、すべてのフィラーが同じように溶けるわけではありません。架橋が密なフィラーほど酵素に抵抗し、同じ量を溶かすのに多くの時間と量を要します。だからこそ、何がどれだけ入っているかの記録が効いてきます。
溶かしておくと、手術は単純になります。剥離する層が明瞭になり、出血が減り、どこをどう持ち上げるかを正確に決められます。
フィラーの入った顔を、そのままリフトしない理由
いちばん避けたいのは、リフト不足のまま手術を終えることです。そしてこれは、手術室では気づけません。
フィラーは皮膚を下から押し上げています。その状態で手術台に乗ると、余っているように見える皮膚が実際より少なく見えます。その分だけ切除量が少なくなり、引っ張る距離も短くなります。私はリフト不足のまま終えたことに、手術室では気づかないでしょう。フィラーが引いたあと、押し出されていた皮膚は行き場を失い、再び下がります。数か月後に「効かなかった」と言われるのが、この経過です。
同じ会員調査で術者が報告していたのも、まさにこの失敗でした。フィラー歴のある患者では、リフトの効果が長続きしなかったというのです。顔をリフトすべきなのは、皮膚の余りが最大になったときです。それは、フィラーが消えたあとです。
溶かしてくぼんだところは、手術中にご自身の脂肪で埋める
溶かしたあとに、くぼみが残ることがあります。これは心配して当然の点で、私の答えは、製剤を足すのではなく、リフトと同じ手術の中で、ご自身の体から採った脂肪でボリュームを戻すことです。
生着した脂肪は、ゲルではなく生きた組織として残ります。注入を重ねるフィラーのような蓄積の問題を持ちません。移植した脂肪がどれだけ残るかについては、脂肪注入の生着についての記事で扱っています。

順序をまとめると、こうなります。先に診断があり、次に溶解があり、そのあとに待つ期間があり、最後にリフトと脂肪注入があります。この順番を入れ替えると、どこかで必ず代償が出ます。
自分の顔はどれに当てはまるか
型を並べる前に、それを仕分ける問いから始めます。ボリュームが減って皮膚が張っている顔はボリュームの問題で、フィラーが正しい道具です。重く、横に広く、動くと輪郭がぼやける顔は、支えられる以上の製剤を抱えているので、取り出すのが答えになります。下がってきている顔は構造の問題で、注射器では届きません。フィラーを取り出したうえで、下の組織を持ち上げるのが答えです。

顔のボリュームが減り、皮膚はまだ張っていて、30代である
加齢によるボリュームの喪失は実在します。フィラーはそのための良い道具で、私はそれを否定しません。ただし、いまどれだけ入っているかを把握しておいてください。前回の分が消えたと決めつけないこと。1本ごとに白紙の顔に打っているつもりをやめること。このふたつが守られていれば、この段階のフィラーは味方です。
以前は良かったフィラーが今は良く見えず、だから追加した
まず、何が変わったのかを見ます。形がぼやけ、顔の幅が広がったのなら、蓄積が進んでいます。一方、くぼみと影が戻り、埋めても効く期間が短くなっているのなら、それは下垂を追いかけている状態です。後者が手術に行き着くケースで、気づくのが早いほど、先に取り除く製剤は少なくて済みます。
顔が重い、横に広い、特に笑うと自分の顔ではない気がする
これが顔面過剰充填症候群です。患者さんはこれをヒアル顔と呼ぶことが多く、同じ状態を指しています。好みの問題ではありません。支えきれない量を、収まらない区画に抱え、動きまで制限している状態です。溶かすことが出発点になります。そこが終着点になるかどうかは、下に何があるかで決まります。
老けて見えるのが怖くて、溶かせない
その恐怖には、はっきり答えておきます。溶かすと、老けて見えます。最初は一時的に、そしてそのあとは永続的にです。実際の年齢より老けた顔にはなりません。
恐怖そのものは理にかなっています。ただ、注入を続ける理由としては誤っています。1年先送りするたびに、いずれ誰かが取り除く製剤が増えます。そしてその顔は、どのみち下垂していきます。ボリュームはリフトのときにご自身の脂肪で戻せます。本当のことは選べませんが、くぼみのほうは選べます。
すでに何度も溶かしていて、肌の状態に不満がある
次に溶かす前に、一度立ち止まってください。ヒアルロニダーゼは選り分けをしません。フィラーだけを狙って分解するのではなく、そのたびに皮膚がもともと持っているヒアルロン酸も一緒に分解されます。繰り返しの溶解は、目のまわりのくぼみ、小じわの悪化、肌質の低下と関連づけられています。
十分な量を誰も決めきれず4回に分けて溶かされることは、1回で意図をもってきちんと溶かされることより、組織にとって悪いことが少なくありません。
気になっているのは重さとフェイスラインのたるみで、ボリュームではない
その場合、フィラーはもともと適応ではありませんでした。重さとフェイスラインのたるみは、手術の問題です。ディーププレーン・フェイスリフトとSMASリフトの違いと、引っ張りすぎたフェイスリフトの見た目のふたつが、注射器の相談を重ねるより、その手術が実際に何をするのかを教えてくれます。
溶解注射はどんな感じで、そのあとの2週間に何が起きるか
溶解そのものは、数分で終わる処置です。注射の直後から数時間は腫れ、むくみ、ときに内出血が出ます。腫れは1〜2日でピークを迎え、1週間ほどでほぼ引きます。
ここで大切なのは、腫れが引いた顔が「結果」ではないということです。ヒアルロニダーゼが分解したフィラーと一緒に、皮膚が元々持っていたヒアルロン酸も抜けています。この分が作り直されるまで、肌は一時的に乾き、薄く、疲れた印象になります。顔が本来の形に落ち着くのは2週間ほどですが、その間の顔を最終形だと思わないでください。腫れが引くと下の顔が一度に現れ、多くの方が動揺しますが、最初の1週間で何かを決めたり、反射的にまた入れたりはしないでください。
何年分もの製剤が入った顔では、この待ち期間が長くなります。腫れが引いて、顔が本当の形に戻り、皮膚のヒアルロン酸が戻るまでを数か月の単位で見ます。
そのため、溶かしてからリフトまでの間隔は、3〜6か月を目安にしています。待っているのは酵素のためではありません。フィラーの分解は1〜3日で終わります。待っているのは、腫れが引いて顔が本当の形に戻るためと、ヒアルロニダーゼがフィラーと一緒に奪った皮膚のヒアルロン酸が作り直されるためです。1か所から少量だけ溶かした場合は数週間で足りますが、何年分も抱えた顔には数か月かかります。早めると、変化の途中の皮膚の上でリフトを設計することになります。
リフトを続けて行う場合、意味を持つのは酵素からの回復ではなく、リフトからの回復のほうです。
執刀医の視点:フィラーは時間を止めていたのではなく、時計を隠していただけ
「10年間この顔を維持してきた」と話す患者さんがいます。実際にされてきたのは、決断を先送りすることでした。影を消すためにフィラーが入り、影が戻り、また入る。先送りした分は、そのつど積み重なっていきます。一度も引き上げられないまま、私が会う頃には、下垂と、製剤で満たされた顔の両方がそこにあります。その下垂を直す手術は、本来より難しく、出血も多く、結果も読みにくくなっています。
私はフィラーに反対しているのではありません。フィラーが診断の代わりに使われることに反対しているのです。何を入れるかを聞く前に、その顔が実際に何をしているのかを聞いてください。答えがボリュームの喪失なら、慎重に、そして入れた量を数えながら入れる。答えが下垂なら、どんな注射器も支えきれません。それを自分で確かめるために費やす1年は、そのぶん誰かが溶かす製剤が1年分増える時間です。
溶解注射に危険はないのか
溶解注射も、無傷では済みません。ここは正直に書きます。
まず挙げられるのは、さきほど書いたポストヒアルロニダーゼ症候群(posthyaluronidase syndrome)です。目のまわりのくぼみ、小じわの悪化、肌質の低下が、強い量や繰り返しの使用と関連づけられています。投与量のガイドラインがまとめられているのは、気軽に量を決めることが誤りだからです。
アレルギー反応は頻度は低いものの、起こりうる反応として知られています。
血管閉塞(vascular occlusion)は、フィラーの合併症のなかで最も恐れられるもので、その正しい治療がヒアルロニダーゼです。これは注入時の問題ですが、溶解の適応を考えるときにも前提になります。
そして、すべてのフィラーが溶けるわけではありません。永久型・半永久型フィラーにはヒアルロニダーゼがまったく作用しません。除去は酵素ではなく手術の問題になり、フェイスリフトの最中にフィラーを切除する必要が出ることもあります。だからこそ、自分に何が注入されたかを正確に知っておくことが重要です。分からない場合は、記録を探すところから始めます。
なお、フィラー歴が術後合併症の頻度を上げると考えていた術者は40%近くいました。皮弁の血流障害に実際に出会ったと答えたのは15.4%です。これらは術者が報告している内容であって、ひとりの患者に起こる確率ではありません。数字を自分の確率として読まないでください。
何を入れるかではなく、顔が何をしているかを聞いてほしい
最後に、診察で使える問いをひとつ残します。私の顔は、ボリュームが減っているのか、それとも下がってきているのか。
この問いに答えられる医師は、針を持つ前にその顔を診ています。答えずに次の注射器へ進むクリニックは、目の前の顔ではなく、予約表を見ています。注射器1本ずつで対応し続けるのをやめる、というのは、そういう意味です。
入れすぎた顔のほとんどは、この問いが一度も立てられなかった結果として出来上がっています。重さは、本当の診断を避け続けたことと引き換えに背負っているものです。
執筆:イ・ヨンウ医師、韓国VIP美容外科の形成外科専門医。顔面解剖と美容外科手術を専門とする。
ヒアル顔とヒアルロン酸の溶解についてよくある質問
ヒアルロン酸フィラーは実際にはどれくらい持つのか?
案内される6〜12か月より、はるかに長いです。中顔面をMRIで調べた研究のレビューでは、撮影されたすべての患者にヒアルロン酸が検出され、2年の観察期間で完全に消失した例はありませんでした。8〜15年が経った患者からも確認されています。薄れるのは見た目の効果であって、材料そのものではありません。前回の分が消えたという前提で追加すると、蓄積していきます。
顔面過剰充填症候群とは何か?
組織が支えられる以上のフィラーを入れられた顔のことです。重く、広く、輪郭のぼやけた見た目で、動いたときに最も強く出ます。仕組みは3つあります。収まらない区画に置かれたボリューム、表情筋の制限と皮膚の伸展、過去の施術の蓄積です。好みの問題でも、1回の失敗した注入の問題でもありません。
溶解すれば以前の顔は戻るのか?
戻りません。ここが最も正しておくべき期待です。溶解が取り除くのはフィラーだけで、時間は巻き戻せません。現れる顔は、記憶より老けて緩んでいることが多いです。年数が経ったからでもあり、フィラーで押し出されていた皮膚が必ずしも戻らないからでもあります。溶解で得られるのは、計画の土台になる正確な顔です。
ヒアルロニダーゼは自分の組織を傷めるのか?
傷めることがあります。ヒアルロニダーゼは選り分けをしません。分解するのはヒアルロン酸で、皮膚にはフィラーとは関係のない自前のヒアルロン酸があります。強い量や繰り返しの使用は、目のまわりのくぼみ、小じわの悪化、肌質の低下と関連づけられ、ポストヒアルロニダーゼ症候群と呼ばれます。だからこそ、繰り返しを控えめにするより、意図をもって1回で十分に溶かすことを選びます。
溶かしてから、どれくらいでフェイスリフトを受けられるか?
何年分もの製剤が入った顔なら3〜6か月です。フィラーの分解は1〜3日で終わるので、待つのは酵素のためではありません。腫れが引いて顔が本当の形に戻るためと、ヒアルロニダーゼがフィラーと一緒に奪った皮膚のヒアルロン酸が作り直されるためです。1か所から少量なら数週間、何年分も抱えた顔には数か月かかります。早めると、変化の途中の皮膚の上でリフトを設計することになります。
フェイスリフトの前に必ずフィラーを溶かす必要があるか?
まとまった量を入れてきた場合は、はい。私もそうお願いしています。溶かすと手術は簡単になり、安全にもなります。フィラーとその周りの線維化が剥離の層を分かりにくくし、出血を増やし、血腫の危険を上げ、組織を傷つける可能性も高くするからです。米国美容外科学会の会員調査では、顔全体のフィラー歴がフェイスリフトの難易度を上げると答えた術者が51.9%いました。
フィラーが入ったままリフトできないのはなぜか?
誰も気づかないまま、リフト不足になるからです。フィラーが皮膚を下から押し上げているため、手術当日に余って見える皮膚が少なくなり、切除量も少なくなります。フィラーが引くと、押し出されていた皮膚は行き場を失い、再び下がります。顔をリフトすべきなのは皮膚の余りが最大のときで、それはフィラーが消えたあとです。同じ調査で術者が報告していたのも、まさにこの失敗でした。
溶かしたあと、くぼんだままになるのか?
なることがあります。心配して当然の点です。私の答えは、製剤を足すのではなく、リフトと同じ手術の中で、ご自身の体から採った脂肪でボリュームを戻すことです。生着した脂肪は生きた組織として残り、注入を重ねるフィラーのような蓄積の問題を持ちません。
フィラーが入っているとフェイスリフトは危険になるのか?
難しくなります。そして、難しさと危険は連動します。剥離する層の中でフィラーに出会い、その周りの組織は線維化していて、剥離は難しく、出血は増え、血腫の危険が上がります。フィラー歴が術後合併症の頻度を上げると考えていた術者は40%近くいました。皮弁の血流障害に実際に出会ったと答えたのは15.4%です。これらは術者が報告している内容であって、ひとりの患者に起こる確率ではありません。
顔のどこに入れたフィラーでも溶かせるのか?
ヒアルロン酸フィラーであれば、唇、頬、涙袋の下のくぼみ、フェイスラインのどこでも溶かせます。最も多く溶解が行われるのは目の下で、そもそもフィラーが道具として間違っていたことが最も多い場所でもあります。目の下の手術とティアトラフへのフィラーの比較で扱っています。溶かせないのは永久型・半永久型フィラーで、ヒアルロニダーゼはこれらにまったく作用しません。除去は酵素ではなく手術の問題になるので、自分に何が注入されたかを正確に知ることが重要です。
前より顔が広く重く見えるのはなぜか?
多くの場合、フィラーが置かれた区画を越えて広がり、顔の輪郭を作っていた境目をぼかしているからです。そして、誰も数えていなかった量が溜まっています。もうひとつの可能性は、下がってきた組織の埋め合わせにフィラーが使われている場合です。顔は一度も引き上げられないまま重くなり続け、その重さは、本当の診断を避け続けたことと引き換えに背負っているものです。
脂肪注入はフィラーより優れているのか?
合う問題に対しては、時間の経過に対するふるまいが優れています。生着した脂肪はゲルではなく生きた組織で、補充を前提としません。そのぶん手間は大きく、予約1回では済まず、処置が必要になります。生着率も、広告の約束ではなく本物の変動要素です。フィラーの万能な代わりではありませんが、リフトと同時にボリュームを戻す顔では、より理にかなった選択になります。
何年もフィラーを入れてきて満足している。心配すべきか?
必ずしも心配する必要はありません。ただし、顔に何が入っているかを把握し、施術のたびにリセットされるという思い込みはやめてください。どこにどれだけ注入したかの記録をもらっておくこと。皮膚がまだ持ちこたえ、輪郭がぼやけたり重くなったりしていなければ、フィラーが働いている側の患者さんです。
次の1本を入れる前に確かめるべき問いをひとつ挙げるなら?
自分の顔は、ボリュームが減っているのか、それとも下がってきているのか。フィラーは前者にはよく答えますが、後者にはまったく答えられません。入れすぎた顔のほとんどは、この問いが一度も立てられなかった結果です。
この記事は情報提供を目的としたもので、医学的な診断や助言に代わるものではありません。手術および施術の判断は、必ず資格のある医師にご相談のうえ行ってください。
