ミニフェイスリフトとは何か。フェイスリフトから引き算された手術です
ミニフェイスリフト(ミニリフト)は、耳の前だけを短く切開して行うフェイスリフトです。切開は耳の後ろへ回らず、首にも直接は手を入れません。垂れ下がった組織を留めている支持靭帯(retaining ligament)も、大半の方式ではそのまま残します。フルフェイスリフトは、その切開を耳の後ろから生え際まで続けます。下顔面と首をひとつのユニットとして扱い、深い層を締めるのではなく持ち上げる手術です。相談の場では、このふたつが同じ手術の大きい版と小さい版のように並べられ、誤解はそこから始まります。ミニは、同じ手術をやさしくした版を指す言葉ではありません。その手術がしないことの一覧で、手元に残るのは耳の前の短い傷跡、頬から5〜6cmだけ剥がした皮膚、そして解放されないまま締められた深い層だけです。
短く答えるとこうなります。ミニフェイスリフトは実際に結果の出る手術で、条件の狭い一群の顔には正しい選択です。それ以外の顔では話が変わり、その顔がいちばん必要としていた部分を計画から抜いたフェイスリフトになって、抜いた場所からいちばん早くほどけていきます。今のところ対照比較にいちばん近い研究は、一卵性の兄弟姉妹を短い切開と全切開に分けて手術したもので、1年目は見分けがつかず、5年目には首で差がつきました。ミニフェイスリフトだけの持続期間を測った研究はまだありません。SMASフェイスリフトは、2回目の手術までが平均12年ほどです。
日本のクリニックでは、同じ手術がミニリフト、ミニ切開リフト、頬のたるみ取りといった名前で紹介されています。呼び名は違っても、切開が届く範囲はどれも変わりません。判断の材料になるのは名前ではなく、その範囲のほうです。ミニフェイスリフトが実際に何をして、どの構造を残していくのか。そしてなぜ首がいちばん先に戻ってくるのか。持続期間と再手術について発表された数字の読み方、診察で判定が分かれる場所、そして小さい手術で足りる顔の条件を、順にお伝えします。
ミニフェイスリフトは何をしないで済ませているのか
手術の文献が使う定義では、ミニフェイスリフトとは耳の前の切開だけで行い、耳の後ろから生え際へ抜ける水平の延長を持たないフェイスリフトです。短い切開のフェイスリフト患者4,451人を集めた2024年の系統的レビューが書いたこの一文が、定義のすべてです。Sリフト、MACSリフト(MACS lift)、ショートスカーリフト、週末リフト、ポニーテールリフト。その名前で売られている残りはすべて、この境界の内側の変形です。名前が約束するのは小さい傷跡、静かに付いてくるのは小さい手術。
切開が耳で止まると、3つのものが消えます。ひとつ目は首です。 耳の後ろの切開がなければ首の皮膚に届く道がなく、あご下に別の切開を置かなければ広頸筋(プラティスマ、platysma)にも届きません。ゆるんだ首の皮膚と縦の筋は、あった場所にそのまま残ります。ふたつ目は後方へのベクトルです。 フルフェイスリフトは、下顔面と首の皮膚を耳の後ろの乳様突起に向けて、上へ、そして後ろへかぶせ直します。ミニフェイスリフトが引ける方向は耳とこめかみだけなので、フェイスラインと耳の下に余った皮膚には行き場がありません。3つ目は、結果がどれだけ保つかを決める剥離、つまり靭帯を解放する操作です。 その層がSMAS(表在性筋膜)、表情筋を包んで皮膚と連結している線維性のシートで、この記事では以下これを深い層と呼びます。同じレビューで執刀医がこの層をどう扱ったかを見ると、折り重ねて縫うプリケーション(plication)が33%、巾着縫合(パースストリング、purse-string)で寄せて締める方式が28%でした。どちらも、組織を骨に留めている靭帯から引き離しません。ディーププレーン剥離は独立した項目としては報告されず、残りの症例は併用術式やその他としてまとめられています。
文献にいちばん詳しく記録されたミニフェイスリフトがMACSリフトで、この型がそこにそのまま出ています。この手術を設計した執刀医たちの術式論文によれば、皮膚は耳の前で5〜6cmほど剥離します。深い層は巾着縫合で寄せて締めるものの、剥離はしないと明記されており、その縫合は頬骨の上の深側頭筋膜に掛けて固定します。首にすることは、広頸筋の上縁に縫合を2、3針かけることだけです。手術は鎮静を足した局所麻酔で2〜2.5時間。適した顔なら無駄のない手術ですが、同時に著者たち自身が連続450例のうち23例、5.1%で首の結果が満足のいくものではなく、追加の手術が必要だったと報告した手術でもあります。その追加手術がたいてい必要としたのは、ミニフェイスリフトが避けるために設計された切開、つまり耳の後ろとあご下の切開でした。

ミニフェイスリフトで首のたるみは取れるのか。首がいちばん先に戻る理由
ミニフェイスリフトは首を締められません。術後に首がいちばん早く戻る理由もふたつに分かれます。そもそも手術していないこと、そして手術をしたとしても首の組織は頬の組織より速く伸びること。遺体組織を使った生体力学の研究では、皮膚の皮弁は深い層の皮弁よりも応力緩和とクリープがはるかに大きく出ました。クリープは荷重がかかり続けた組織がゆっくり長くなる性質のことで、首の組織は顔の組織よりよく伸びました。著者らは、首が顔より先にゆるむという、執刀医なら誰もが見ている現象の説明としてこの結果を差し出しています。首に触れず、リフトの分を皮膚の張力に負わせた手術。いちばん弱い材料と、いちばん速くゆるむ場所を選んで、支えてくださいと頼んだ形です。
いちばんはっきりした根拠は、一卵性双生児と三つ子を対象にした研究から出ています。一卵性の双子4組と一卵性の三つ子1組、56〜73歳を、2006年1月から8月のあいだにすべて手術しました。各組で先に生まれたほうが全切開のフェイスリフトを、残りの兄弟姉妹が短い切開のリフトを受けています。無作為の割り付けではなく、出生順で分けた設計です。どちらがどちらの手術か知らされていない形成外科専門医8人が、フェイスライン、首、ほうれい線を採点し、写真は1年ごろと5年ごろの2回撮りました。1年では差がなく、5年では全切開の側が有意に高い点で、差が出た部位は首でした。遺伝も年齢も紫外線も生活習慣も、フェイスリフトの比較で望みうる限り近い条件です。違った変数はひとつ、手術が何を含んでいたかでした。
例外的な結果でもありません。MACSリフトの導入から18年後に出た独立した系統的レビューは、6件の研究、739人分を集めています。結論は、首への効果は限定的であり、加齢した首を扱うには追加の処置が正当化される、というものでした。相談の場でこれが引っかからない理由は単純で、患者さんが指差して来られる場所が首ではないからです。指差されるのは、フェイスラインに垂れたブルドッグラインです。ブルドッグラインは滑り落ちた頬の下の端で、首はその滑りが行き着く先。耳で止まる手術は、問題の真ん中だけを扱って両端を残します。
ミニフェイスリフトの持続期間は?研究が実際に測ったもの
ミニフェイスリフトはフルフェイスリフトより保ちが短く、文献はその差に日付ではなく区間を与えています。双子は1年で同じに見え、5年で首が分かれました。短い切開のリフトだけをそれだけ長く追跡した研究はありません。フェイスリフト全般については、標準的な手術の教科書が数字を出しています。よく行われた手術なら再手術までは5〜10年、軽い修正は最初の1〜2年のうちに必要になることが多い、と。ミニフェイスリフトでその時期が前倒しになるのは、結果を支えているふたつがいちばん先に崩れるからです。皮膚の張力と、解放されていない深い層。そのあいだ、手つかずの首は自分のペースで歳を取り続けます。ある日付で壊れるのではなく、再発がより低い位置から始まり、引き留める構造がより少ないだけです。
もうひとつの仕組みが靭帯で、頬骨靭帯と下顎靭帯のふたつが頬とブルドッグラインを骨に留めています。この靭帯を最初に記載した執刀医は、顔の皮膚を最大限に上へ動かしたいなら、この繋ぎ止める作用を断つ必要があると書きました。巾着縫合やプリケーションは、深い層をその固定点から解放する代わりに、固定点に向けて締めます。すると残った靭帯が新しいひだの線になり、結果の新しい限界になります。そこに伸びていく皮膚と除外された首が足されると、再発の出どころは3つ、3つとも最初の切開より前に計画へ組み込まれていたことになります。
発表された数字も、日付ではなく区間を描きます。2回目のフェイスリフトを受けに来た42人を検討した研究では、SMASフェイスリフトから次の手術までが平均11.9年でした。著者らは、よく行われたSMASリフトは平均12年ほど保つとまとめています。その中でも42人中9人、およそ21%は5年以内に2回目を受けていました。多くは紫外線損傷の強い皮膚か、内科的な要因を持つ方です。短い切開のリフトは、出発点そのものがより低い位置にあります。2024年のレビューが報告した再手術率は1.0%で、この数字はゆっくり読む必要があります。執刀医が自分の追跡期間の中で報告した値であり、その文献の85%はエビデンスレベル4、残りがレベル3と評価されました。患者側の結果を少しでも報告した研究は、3件に1件ほどです。5年再手術率ではありませんし、ミニフェイスリフトの5年再手術率を発表した人はまだいません。フェイスリフト後の再発を集めたメタアナリシスは433編を検討し、再発を報告していた論文は19編だけ、その率も測る人によって0.2〜50%と散らばっていました。正直にまとめられるのはここまでで、ミニフェイスリフトの持続期間は大半が測られておらず、測られた部分は双子と同じ方向を指しています。

ミニフェイスリフト、SMAS、ディーププレーンをひと目で比べる
ミニフェイスリフトとフルのSMASフェイスリフト、ディーププレーン・フェイスリフトを分けるのは、どれだけ強く引くかではなく、どこまで届くかです。ミニフェイスリフトは深い層を解放しないまま締めます。SMASフェイスリフトはその層を皮弁として持ち上げて締め、靭帯はおおむね残します。ディーププレーン・フェイスリフトは靭帯を切離し、その層をひとつの複合体として移動させます。下の表は、患者さんがふだんクリニックのページを3か所行き来して自分で組み立てている比較を、1か所にまとめたものです。
| 判断ポイント | ミニフェイスリフト | フルのSMASフェイスリフト | ディーププレーン・フェイスリフト |
|---|---|---|---|
| 切開 | 耳の前からこめかみまで、耳の後ろにはなし | 耳の前から耳たぶを回り、耳の後ろの生え際まで | 全切開と同じ。首のためにあご下の切開を足すことが多い |
| 深い層 | 折り込むか巾着縫合で締める。剥離はしない | 皮弁として持ち上げて締める。靭帯はおおむねそのまま | 下を剥離し、皮膚とひとつの複合体として移動 |
| 支持靭帯 | 解放しない | 温存する | 切離して解放する |
| 首と広頸筋 | 扱わない、または縫合を数針 | 外側の広頸筋を締める。あご下の切開を足せば正中も | 外側と正中を顔とひとつのユニットとして処理 |
| 皮膚の剥離範囲 | 耳の前に5〜6cmほど | 頬と首にわたって広く | 狭い。皮膚が深い層と一緒に動くため |
| リフトを担うもの | 深い層に掛けた縫合の張力+皮膚の張力 | 締めた深い層。皮膚には中等度の張力 | 解放された深い層。皮膚は張力なしで閉じる |
| 麻酔 | 約42%が局所麻酔単独、さらに42%が局所麻酔+鎮静 | 深い鎮静または全身麻酔 | 深い鎮静または全身麻酔 |
| 手術時間 | 2〜2.5時間ほど | より長い | 最も長い |
| 抜糸 | 7日前後 | 7日前後 | 7日前後 |
| 回復 | より短い。首の剥離がなく麻酔も軽い。文献は日数で数えない | 2週間前後で人前に出られ、4〜6週で楽になる | 2週間前後で人前に出られ、4〜6週で楽になる |
| 報告された持続 | 大半が未測定。5年目に首で全切開と分かれる | 2回目の手術までが平均12年ほど | 年単位。ミニと直接比べたシリーズはない |
| 合う顔 | 初期のブルドッグライン、保たれた中顔面、きれいな首 | ブルドッグラインに首のゆるみが少し | 中顔面の下垂、深いひだ、重いブルドッグライン、本物の首のゆるみ |
表でいちばん重い行は支持靭帯で、繋ぎ止められた顔はミニフェイスリフトを受けても繋ぎ止められたまま残ります。手術にできるのは、その繋ぎ止めを相手に組織を引くことだけ。ふたつの違いはディーププレーンとSMASフェイスリフトで詳しく扱いました。要約すれば、手術の名前より何を解放するかが結果を決め、3つのうち解放がいちばん少ないのがミニフェイスリフトです。
ミニフェイスリフトとフルフェイスリフトを、私はどこで分けているか
ミニフェイスリフトとフルフェイスリフトを分けるのは首です。個人的な原則ではなく、文献の一致した見解です。標準的な手術の教科書は、短い切開のリフトの対象を、顔の加齢が比較的限られていて、強いブルドッグラインや首のたるみがない患者と記述しています。そのうえで、短い切開の術式では首の輪郭を意味のある形で作り直せないと言い切っています。MACSリフトを設計した執刀医たちも自分たちの450例から同じ結論に達し、双子研究がそれを実際に測っています。ですから診察はあごの下から始まります。つまめる余った皮膚、あごと首が作る角の鈍り、力を入れたときに出る縦の筋。どれかひとつでもあれば切開は耳の後ろへ回る必要があり、広頸筋にも手を入れる必要があります。耳の前でどれだけ工夫しても、この判定は変わりません。ここで使う4つのチェックは二重あごの脂肪吸引とネックリフトに整理してあります。下顔面と首をひとつのユニットとして計画するのは、このふたつがひとつのユニットとして歳を取るからです。
私の手術では、ミニフェイスリフトは切開を短くしたディーププレーン・フェイスリフトであって、別の手術ではありません。切開は耳の前からこめかみまでに留め、首に手を入れる必要がなければ、耳の後ろへ下りる枝は省くか短く残します。その入り口からSMASの下の層に入り、解剖が許すところまで剥離します。頬骨靭帯と下顎靭帯は全切開のときとまったく同じように解放し、皮膚と深い層をひとつの複合体として一緒に移動させます。私はフェイスリフトの大半でディーププレーン法を使っていますが、切開が短くなって変わるのはどこまで手が届くかであって、届いた場所をどう扱うかではありません。部分的にしか解放されていない顔は妥協した顔で、残した靭帯が新しい繋ぎ止めになり、組織を戻せる距離の新しい限界になります。ですから私は、短い切開から深い層を巾着縫合で寄せることも、プリケーションで折り込むこともしません。どちらも、誰も切離していない靭帯を相手にその層を締める操作であり、双子研究が5年目に測ったのはまさにその結果です。
この差は、アジア人の顔でさらに大きく開きます。皮膚もSMASも弾性が明らかに低く、欧米人の顔のように伸びて張り直ることがないからです。伸びてくれない皮膚の上で皮膚の張力に頼るリフトには、そもそも引くための余りがありません。だから解放は、より不完全にではなく、より完全にする必要があります。ここから出てくる帰結はふたつ。この組織構造で皮膚の張力に引かせるミニフェイスリフトは、上がった顔ではなく引っ張られた顔に見えやすくなります。再発する可能性も高くなるのは、手術台の上で伸びなかった組織が手術のあとも伸びないからです。
手術の大きさと関係なく、そのまま変わらない手順もあります。私はフェイスリフトの最後に、例外なくヘモスタティックネット(止血縫合)を置きます。4-0ナイロンを、持ち上げた皮弁から剥離面の底まで、細かい間隔で通していく縫合です。血液が溜まる空間をどこにも残さないためで、3〜4日置いてから抜きます。閉鎖式の吸引ドレーンは全例で片側2本、どちらも耳の後ろの乳様突起の近くから出し、受け持つ領域を分けて、1本は首へ下ろし、もう1本は頬へ上げます。手術中の収縮期血圧は140未満に保ち、トラネキサム酸は手術当日から3〜4日目まで点滴で入れます。手術が小さくなったからといって省ける項目はひとつもありません。剥離面が狭くなっただけで、出血する血管のほうにその事情は伝わっていないからです。手順の全体はヘモスタティックネットによるフェイスリフト後血腫の予防にまとめました。
フルが必要な顔について、ミニでお願いしますと言われたときは、何を得て何を差し出すことになるのかを省かずにお伝えします。そして、その引き換えをご本人の言葉で私に言い返していただけるまで、何も決めません。私が譲らないお断りはそれより狭いところにあります。おっしゃった目標が、依頼された手術では作れないとき、私は手術しません。慎重さの話ではありません。首がゆるみ、中顔面が落ちた顔に技術的にきれいなミニフェイスリフトを行った結果は、文献にすでに記述されています。そこから続く再手術は、最初から適した手術をした場合より難しく、遅く、読みにくくなります。その理由はフェイスリフトで引きつった印象になる理由で扱いました。
ミニフェイスリフトが本当に向いている顔は?
ミニフェイスリフトが向いている顔には、条件が4つそろっています。フェイスラインに沿ってブルドッグラインが出はじめていること、中顔面がまだ位置を保っていること、つまむと皮膚が弾んで戻ること、そして首に直すものがないこと。この組み合わせは実際にありますし、当てはまるなら妥協ではなく、素直に良い知らせです。フェイスラインについて、ディーププレーンまで行かずSMASリフトで足りると言われた方も同じです。以下は診察室でよく出会う型です。年齢よりも診察のほうが、この仕分けをずっと速く済ませます。
1. ブルドッグラインが出はじめ、中顔面は保たれ、首はきれい
合います。ミニフェイスリフトが設計された顔で、フェイスラインの線がぼやけ、頬は落ちておらず、ほうれい線はあるけれど深くはなく、首はふたつのチェックをどちらも通過します。切開を短くしても、深い層の下でするべきことをきちんとすれば足ります。傷跡は耳で止まったまま、結果は全切開に近いところまで出ます。相談では、深い層を解放するのか、それとも寄せて締めるだけなのかを聞けば、具体的な答えが返ってくるはずです。
2. ブルドッグラインに、首のゆるみが少しでもある
合いません。少なくともミニフェイスリフトとしては合いません。あごの下でつまめる皮膚、鈍ったあごと首の角度、力を入れたときに出る筋。どれかひとつでもあれば首は問題の一部で、ミニの切開はそこに届きません。この顔は1年目には良く見えて、5年目になると双子研究が示したとおりのものが首に出ます。先にする話は首で、切開の話はそのあとです。
3. 中顔面が下がり、ほうれい線が深い
合いません。ほうれい線は皮膚でできているのではなく、皮膚の裏の組織でできています。落ちた頬の脂肪体が裏から押しているひだは、その組織を解放して移動させない限り動きません。ミニフェイスリフトは、自分が切離したことのない靭帯を相手に頬を引くので、ひだは腫れとともに浅くなり、腫れとともに戻ってきます。この顔に要るのは解放ですから、解放まで踏み込む手術に進むのが筋です。
4. 40代で「少しだけ」と考えている
決めるのは年齢ではなく診察です。手術の教科書が書く典型的な短い切開の対象は、加齢が限定的な40〜50歳で、その条件なら当てはまります。国の統計を見ると、フェイスリフトを受けた方のうち40〜54歳は18%ほど、40歳未満は2%だけです。55〜69歳が59%を占めます。40代でもブルドッグラインが出はじめたところで首が無事なら、ミニフェイスリフトのよい対象になります。40代でも首がゆるんでいれば、年齢が若いだけで、全切開の対象です。短い切開の文献での平均年齢は56歳で、宣伝が狙う若い顔だけにこの手術が使われているわけではありません。
5. 糸リフトを受けたことがある
慎重に進める必要がありますし、小さい手術でも宣伝ほど楽ではないと思っておいてください。糸リフトを2回以上受けた顔には、線維化と組織面の癒合がすでにできています。どんな剥離も遅くなり、かぶせ直したときの落ち着き方も読みにくくなります。ここで問いが変わります。ミニで足りるかどうかではなく、組織がまだ動くかどうかです。糸が残していくものは糸リフトとフェイスリフトで扱いました。
6. 男性の場合
可能ですが、ふたつ変わります。男性の切開は耳珠の裏ではなく耳珠の前に置き、ひげの生える皮膚が耳の中へ引き込まれないようにします。血腫への備えも一段強めます。発表されたフェイスリフトの成績データベースでも最大級のもので、男性の血腫リスクは女性のおよそ3.9倍と報告されているからです。ブルドッグラインが出はじめ、首がきれいな男性に短い切開は理にかなっています。早く終わるから短くする、というのは別の話です。

ミニフェイスリフトのダウンタイムはフルとどれくらい違うのか
ミニフェイスリフトの回復はフルフェイスリフトより短く、文献が正確なのは日数のほうではなく理由のほうです。記録されているのは3つで、まず手術時間がはっきり短いこと。MACSリフトと深部SMASリフトを比べた286人分のメタアナリシスでは、手術時間に大きく一貫した差が出て、早期の結果は同等でした。麻酔も軽く、短い切開の手術の42%が局所麻酔単独で行われています。そして首の剥離がありません。フルフェイスリフトのあとの腫れ、首を回したときのつっぱり、圧迫バンドを巻いて過ごす日々の大半はここから来ます。ただし文献は、その差を何日と換算してはいません。ですから、ダウンタイムを何日と言い切るクリニックは、文献ではなく自分の経験を語っていることになります。抜糸はどちらの手術も7日前後、腫れと内出血が最初の1週間にピークを迎えるのも同じです。フルフェイスリフトは、身近な人の前に出られるまで2週間ほど、社会生活が楽になるまで4〜6週ほどかかります。
短くならないものもふたつあります。頬と耳の前のしびれは、どちらの手術でも数か月かけて戻ります。傷跡もどちらの手術でも落ち着くまでに1年かかります。赤みは1〜3か月がいちばん濃く、6か月まで薄れ、12か月になると大半の方は自分の切開線を簡単には見つけられなくなります。この経過はフェイスリフトの傷跡と治り方で月ごとに追いました。傷跡が短いことは、治りが速いこととは別です。経過はまったく同じで、線の長さだけが短いということです。
結果の判定基準も、ほかのフェイスリフトと同じです。腫れがまだ顔を覆っている1か月では判定しません。組織が落ち着いていない3か月でも判定しません。6か月がまともに判定できるいちばん早い時点で、1年ならもっと確かです。ミニフェイスリフトには、クリニックがあまり口にしない確認の時点がもうひとつ、5年目があります。双子研究で、手術が触れずに残した首が差を見せた時点がそこでした。
執刀医の視点
執刀医の視点:まず診るのは、この手術が触れない場所です
ミニフェイスリフトを希望して来られたとき、私が真っ先に診察するのは、その手術が触れない部分です。首がきれいで中顔面が保たれていれば、小さい手術で足りますとお伝えします。社交辞令ではありません。フェイスリフトの相談で、これ以上に良い知らせはないからです。
反対に、首がゆるんでいたり頬が滑り落ちていたりする場合は、小さい手術でも1年は良く見えますが、触れなかった首が5年になるずっと手前で差を見せます、と申し上げます。そこから来る2回目の手術が、最初からした場合より難しくなることも一緒にお伝えします。
私がしないのは、傷跡に合わせて剥離を縮めることです。短く切開しても、私はSMASの下に入り、手の届く範囲は解放します。切開を短く取るのは、私が設計で選ぶ項目です。解放されなかった靭帯は、患者さんが抱えて生きていく結果です。このふたつのうち、私が差し出してよいものはひとつだけです。
ミニフェイスリフトの失敗と副作用は、どんな形で出るのか
ミニフェイスリフトはフルフェイスリフトよりリスクの低い手術です。ただし、その低さがどこから来ているかまで見ないと、正確な理解にはなりません。20編、4,451人分を集めた集計があります。短い切開のフェイスリフトの全体の合併症率は3.2%、血腫は2.0%、血腫で手術室に戻った例は0.14%で、永久的な神経損傷の報告はありませんでした。フェイスリフト全体では、患者11,300人のデータベースで重大な合併症が1.8%、血腫が1.1%です。男性の血腫リスクは女性の4倍近くで、ほかの手術を併用すると率は2倍以上に上がりました。剥離が狭いこと、出血面が小さいこと、麻酔が短いこと。安全面の利点は本物ですが、同時にミニ側の数字の後ろにあるエビデンスの問題も本物です。大半がレベル4と評価された研究で、合併症を定義したのは執刀医本人でした。
ひとつだけ、読むのに注意が要る数字があります。短い切開のシリーズが報告した皮膚壊死、つまり血流が途絶えて切開線の近くの皮膚が部分的に死ぬ問題は0.06%で、どのフルフェイスリフトの数字よりも低い値です。この危険を上げるのは切開の長さではなく剥離層のほうです。壊死は皮下剥離のリフトで約3.6%、ディーププレーンのリフトで1%未満に分かれます。皮膚だけ、あるいは皮膚中心で持ち上げた手術は、より薄い皮弁を作り、より大きな張力で閉じるからです。皮膚中心で行うミニフェイスリフトなら、前の数字ではなく後ろの数字のほうを引き継ぎます。喫煙中の方が皮膚を失う確率は、吸わない方のおよそ12倍です。どのフェイスリフトでも4〜6週の完全な禁煙が、希望ではなく前提条件になるのはこのためです。
ミニフェイスリフトがうまくいかなかったときの姿は、合併症であることがまれです。たいていは結果そのものです。頬に沿って引っ張られた印象、いわゆるラテラルスイープ(lateral sweep)は、顔を皮膚の張力で横方向へ引いていったときに出ます。文献でこの見た目に最も関連が深い術式として挙がるのは、皮膚だけを引くリフトです。その仕組みと修正はフェイスリフトで引きつった印象になる理由で説明しました。ピクシーイヤー(pixie ear)、つまり耳たぶが前と下へ引き下ろされた形は、耳たぶで皮膚を張力がかかったまま閉じたときに生まれます。頬は張っているのにフェイスラインが戻っている場合や、耳珠の前に段差が見える場合。どちらも、誰も解放していない固定点を相手に深い層を締めた印です。いずれも、ふつうに言う手術ミスではありません。計画が予告していた結果です。
検索語として今も残っている歴史がひとつあるので、ここに書いておきます。米国でいちばん大きく宣伝されたミニフェイスリフトのブランドがライフスタイルリフトです。従業員が満足した患者を装ってオンラインに書き込んでいたことが問題になり、2009年にニューヨーク州の司法長官と和解しました。6年後に破産を申請しています。問題は術式だけにあったのではありません。すべての顔にひとつのサイズの手術を出したことが問題でした。
「ミニかフルか」より先に、「何が顔を引き留めているか」を聞いてください
ミニかフルかを大きさで選ぶのは、問いを立てる前に答えを決めておく作業です。本当の問いは、何が下がり、何がそれを繋ぎ止め、首まで問題に加わったかどうかです。ブルドッグラインが出はじめ、中顔面が保たれ、首がきれいな顔には、短い手術で答えられます。診察したうえでそう言う執刀医は、良い知らせを届けています。首がゆるんだ顔や頬の落ちた顔には答えられません。それでもミニ版を勧める執刀医は、期限の付いた結果を勧めていることになります。
傷跡がどれだけ短くなるかではなく、手術が何を解放するのかを聞いてください。深い層をどこに掛けて固定するのか、首には手を入れるのかも聞けます。5年目をどう見ているかまで聞ければ、なお確かです。5年目を考えたことのある執刀医は、分類ではなく目の前の顔を見ています。短い傷跡は約束しやすいものです。実際に求めるべきなのは、5年経っても崩れていない首のほうです。
執筆:イ・ヨンウ医師、韓国VIP美容外科の形成外科専門医。顔面解剖と美容外科手術を専門とする。
ミニフェイスリフトとフルフェイスリフトのよくある質問
ミニフェイスリフトとフルフェイスリフトの違いは?
切開と、届く範囲です。ミニフェイスリフトは耳で止まるので首に届きません。フルフェイスリフトは耳の後ろの生え際まで続き、下顔面と首をひとつのユニットとして扱います。その入り口の中でも、ミニの大半は深い層を解放する代わりに縫合で寄せて締めます。ですから目に見える違いは傷跡に出て、長く残る違いは何を解放したか、首を計画に入れたかどうかに出ます。
ミニフェイスリフトの持続期間はどれくらいですか?
ミニフェイスリフトだけの持続期間を直接測った研究はなく、引用される数字は、どれも研究の裏づけがないまま10倍近く開いています。今ある最良の比較は、一卵性の兄弟姉妹を組ごとに短い切開と全切開に分けて手術した研究です。1年では差がなく、5年では首で全切開のほうが明らかに良い結果でした。SMASフェイスリフトは2回目の手術までが平均12年ほどです。ミニフェイスリフトの結果は1年から5年のあいだのどこかで全切開の結果と分かれ、多くはまず首から開きます。
ミニフェイスリフトの再手術がフルより早いのはなぜですか?
結果を皮膚の張力と解放されていない深い層で作っていて、首が計画から外れているからです。皮膚は荷重がかかり続けると長くなり、切離されなかった靭帯は新しいひだの線になり、首の組織は頬の組織より速くゆるみます。発表された区間はふたつ、双子研究で短い切開と全切開が同じに見えた1年と、分かれた5年です。フェイスリフト全般では軽い修正が最初の1〜2年に必要になることが多く、よく行われた全切開なら5〜10年以上が期待できます。
ミニフェイスリフトは受ける意味がありますか?
合う顔ならあります。ブルドッグラインが出はじめ、中顔面が位置を保ち、首に直すものがない顔がそれです。短い傷跡と軽い麻酔、短い手術時間で、フェイスリフトの結果の大部分が手に入ります。反対に、首がゆるんだ顔や頬の落ちた顔では、ブルドッグラインだけがしばらく良くなり、首と頬は歳を取り続けます。そのあとに来る再手術は、最初から全切開でした場合より難しくなります。
ミニフェイスリフトは局所麻酔でもできますか?
できます。短い切開の文献では約42%が局所麻酔単独、さらに42%が局所麻酔に鎮静を足して行われました。MACSリフトからして、鎮静を足した局所麻酔を前提に設計された手術です。剥離が短く、首の操作がないから成り立つ話で、全身麻酔を避けたい方には実質的な利点になります。ただし、その顔がそもそもミニフェイスリフトの対象であるときの話です。
MACSリフトはミニフェイスリフトと同じものですか?
MACSリフトは最小侵襲頭蓋懸垂という意味の名前で、文献にいちばんよく記録されたミニフェイスリフトです。耳の前の短い切開、深い層を寄せてこめかみの高い位置に掛けて固定する非吸収性の巾着縫合、そしてその層は剥離しないという原則が組み合わさっています。設計者たち自身が、450人のうち5.1%が2回目の首の手術を必要としたと報告しました。独立した系統的レビューも、首への効果は限定的だと結論づけています。
Sリフトやショートスカーリフトとはどんなものですか?
どちらも同じ範疇を指す古い名前、または広い名前です。耳の前にS字型か短い切開を置き、皮膚は限られた範囲だけ剥離し、深い層は縫合で締め、耳の後ろには切開を置きません。週末リフト、ランチタイムリフト、ポニーテールリフトも、同じ境界の内側の施術を呼ぶ宣伝上の名前であって、別の術式ではありません。
ミニフェイスリフトとディーププレーン・フェイスリフトの違いは?
ミニフェイスリフトは深い層を支持靭帯に向けて締めます。ディーププレーン・フェイスリフトはその層の下を剥離して靭帯を切離し、皮膚と脂肪と深い組織をひとつの複合体として一緒に移動させ、皮膚には張力を掛けません。ミニにできるのは、すでに動く組織を配置し直すことだけです。ディーププレーンは組織を先に動くようにするので、中顔面とほうれい線まで届き、持続も年単位で語られます。
ミニフェイスリフトに向いている年齢はありますか?
良い年齢はなく、良い診察があるだけです。手術の教科書は典型的な短い切開の対象を、加齢が限定的な40〜50歳と記述しています。ところが短い切開の研究の平均年齢は56歳で、国の統計でもフェイスリフト患者のうち40〜54歳は18%にとどまります。45歳でも首がゆるんでいれば全切開が要ります。60歳でも首がきれいでブルドッグラインが出はじめた程度なら、その必要はないかもしれません。
ミニフェイスリフトでも傷跡は残りますか?
残ります。切開は耳の前を通り、たいていこめかみまで上がります。治るまでの経過はほかのフェイスリフトの傷跡と同じです。最初の1〜3か月は赤く、6か月まで薄れ、12か月になると見つけにくくなります。耳の後ろに線がないぶん、全切開の傷跡より短くはあります。短いことは、速いことではありません。
ミニフェイスリフトの副作用にはどんなものがありますか?
4,451人分を集めた集計では、全体の合併症率は3.2%、血腫は2.0%、血腫で手術室に戻った例は0.14%で、永久的な神経損傷の報告はありませんでした。切開線の近くの皮膚が死ぬ問題は、ディーププレーンより皮膚中心のリフトで多く、およそ3.6%対1%未満に分かれます。喫煙はこの確率を何倍にも上げます。いちばん多い悪い結末は合併症ではなく、結果そのものです。フェイスラインが戻ってきたのに頬だけ張っている状態か、そもそも計画に入っていなかった首です。
ミニフェイスリフトの失敗はどんな見た目になりますか?
たいていは合併症ではなく、予告されていた結果です。皮膚の張力で顔を引いた結果として横へ流れたラテラルスイープ、耳たぶで張力のかかったまま皮膚を閉じて生じたピクシーイヤー、そして頬は張っているのにフェイスラインと首が戻っている状態。最後の所見は、誰も解放していない靭帯を相手に深い層を締めた印です。
ミニフェイスリフトから、あとでフルに切り替えられますか?
できますし、実際によく行われます。ただし2回目の手術は、最初からのフルフェイスリフトより難しく読みにくくなります。頬にできた瘢痕が組織の層を癒着させますし、深い層は前の縫合で薄くなったり固定されたりしていることがあり、使える皮膚も少なくなります。再手術までは最低6か月、1年ならもっと安全なのは、まだ張力のかかっている顔に差し出せる余りの皮膚がないからです。首と靭帯について最初の手術の前に聞いておけば、2回目が要らなくなることもあります。
ミニフェイスリフトとネックリフトは一緒にできますか?
できます。そしてその時点から、ミニフェイスリフトという言葉は本来の意味では成り立たなくなります。首に届くには、皮膚のために耳の後ろの切開が、広頸筋のためにたいていあご下の切開が必要です。その2本の切開がないことこそがミニフェイスリフトの定義だからです。クリニックがミニフェイスリフトにネックリフトを足したと呼ぶ手術は、頬の傷跡が短いフルフェイスリフトです。正当な手術ですし、それが正解である場合も多いのですが、ミニという名前から連想される短い回復ではありません。診察であごの下につまめる皮膚や、力を入れたときの筋が見つかったら、首を先に計画して、切開は首に決めさせてください。
ミニフェイスリフトと下顔面リフトの違いは?
下顔面リフトは、フェイスラインとブルドッグライン、首の上部を、耳の後ろへ続く切開から扱い、広頸筋にも手を入れられます。ミニフェイスリフトは同じブルドッグラインを、耳で止まる短い切開から扱い、首には届きません。狙う部位は重なりますが、届く範囲は重なりません。クリニックによってふたつの名前の使い方はゆるいので、名前を信じる代わりにひとつだけ聞いてください。切開は耳の後ろまで回りますか、広頸筋にも手を入れますか。
この記事は情報提供を目的としたもので、医学的な診断や助言に代わるものではありません。手術および施術の判断は、必ず資格のある医師にご相談のうえ行ってください。
