フェイスリフト後にCO2レーザーは受けられるか、いつなら受けられるか
受けられます。決め手は何か月たったかではなく、持ち上げた皮膚が自前の血流を取り戻したかどうかです。顔の皮弁(skin flap)では、それにおよそ1週間かかります。
私はフェイスリフトの患者さんに、術後7日目から14日目の間に表層のフラクショナルCO2照射を1回行っています。まだ私が経過を診ていて、帰国便に乗る前の時期です。手術当日にレーザーを当てることはありません。
よくある誤解は、むしろ逆の方向のものです。レーザーは6か月待たなければならないと思い込んで、結局一度も受けずに終わるケースです。その結果、顔は引き上がっているのに、肌の表面だけが手術前のまま残ります。
問題はその表面です。フェイスリフトは組織の位置を動かす手術で、40年分の日光が皮膚に残したダメージまでは変えられません。
なぜフェイスリフトでは肌の質感が治らないのか
フェイスリフトが変えるのは位置で、レーザーが変えるのは表面です。どれだけ引き上げても、日光で傷んだ表面が滑らかになるわけではありません。
2021年のレビューにも、外科的処置は皮膚のたるみを改善して体積を戻せるものの、皮膚の質感までは完全には治せない、と書かれています。リポフェイスリフトを8年間追った観察研究でも、古典的SMASフェイスリフトの後に未解決のまま残る問題のひとつとして、皮膚と皮膚の質感の変化が挙げられています。
層に分けて考えると分かりやすくなります。ディーププレーン・フェイスリフトは支持靭帯を解放し、皮膚が付いたままのSMASを再配置します。これで改善するのは、頬のたるみ、落ち込んだ頬、重い首です。その上には表皮と上部真皮があります。口周りの小じわ、開いた毛穴、まだらな色素、日光弾力線維症(solar elastosis)によるちりめん状の質感は、この層の問題です。リフトはこの層にもわずかに張りを与え、少しだけ滑らかにします。効果はたしかにありますが、ごく浅いものです。
ここは正直に書いておきます。フェイスリフト単独の前後で毛穴の質感や色ムラを測った研究はありません。いま挙げたふたつの主張も測定結果ではなく、外科の論文が冒頭で述べている見解です。
実際に測られているのは、もっと狭い範囲です。3施設の併用治療100件を、カルテからさかのぼって調べた報告があります。引き締め機器とアブレーティブ・フラクショナルレーザーを組み合わせたところ、たるみと光老化が同時に改善したと記録されています。手術を伴わない治療でも考え方は同じで、標的がふたつあれば道具もふたつ要ります。
なぜタイミングを決めるのは傷跡ではなく血流なのか
レーザーで怖いのは切開部が開くことではなく、切開と切開の間にある皮膚そのものが壊死することです。だから時期を決めるのは、傷跡の治り具合ではなく皮弁の血流です。
フェイスリフトで皮弁を持ち上げると、皮膚は下から栄養を送っていた血管から切り離されます。しばらくは、つながっている縁から届く血流だけで生き延びることになります。アブレーティブレーザーは、その上に重ねる2度目の損傷です。灌流が通常の半分しかない皮膚は、それに耐えられません。
実際の患者で顔面皮弁の治り方を追った研究があり、灌流が数値で測られています。レーザースペックルイメージングで顔面皮弁の遠位端を測ると、灌流は閉創直後が基準値の54%、1週間後が104%、3週間後が115%でした。対象は腫瘍切除後の眼窩周囲の両茎皮弁です。フェイスリフトの皮弁より小さく、引き伸ばしも少ないので、フェイスリフトでは遠位端の回復はおそらくもっと緩やかでしょう。それでも、曲線の形そのものには意味があります。最初の1週間は灌流が足りない期間で、その終わりまでに皮弁は自力で栄養を得られるようになります。ただし、この研究が測ったのは安静時の血流です。2度目の損傷を受けたときに皮弁が持ちこたえるための余力までは測っていません。
この問いに答えるために組まれた、ブタの対照実験があります。4×10cmの皮弁を持ち上げて短縮し、術後0・7・14・21・28日目に完全アブレーティブCO2レーザーを2パス照射したものです。手術当日に照射した皮弁は治癒に23.9日かかり、全例で皮膚が脱落して瘢痕が残りました。7日目以降に照射した皮弁は7.3〜8.1日で治り、一度も持ち上げていない皮膚と差がありませんでした。著者らは、皮弁はおよそ術後1週間で安全にレーザー照射できると結論づけています。
動物での実験で、しかも私が使うものよりはるかに強い連続走査式レーザーです。数か月待つクリニックは、この実験が求める以上に慎重だということになります。それでも、危険な時期が術後60日目ではなく0日目にあることを示した、対照を置いたタイミングのデータはこれしかありません。
皮弁そのものの強さも術式で違います。皮膚の脱落は、皮下フェイスリフトの後でおよそ3.6%、ディーププレーン術式では1%未満です。喫煙を続けている人は、吸わない人に比べて12.46倍脱落しやすいと報告されています。ディーププレーンの患者さんが早い時期のレーザーに耐えられるのは、SMASが付いたままの厚い皮弁だからなのです。

同日・早期・数か月後:発表されている報告は何を示しているか
同日照射は、25年にわたって安全だと報告されてきました。ただ、その多くには共通する条件があります。執刀医が術式そのものを変えるか、レーザーを皮弁の手前で止めるかして、安全を確保していたことです。治療を段階に分ければ、そのどちらの妥協も要りません。
1990年代後半には、フルフェイスのCO2とフェイスリフトを同日に行った報告がいくつものグループから出ました。239人(うち106人が同日にフェイスリフトを併用)の報告では、レチノイン酸とハイドロキノンで1〜2か月前処置をしたうえで施行し、組織壊死は報告されませんでした。ただし合併症率そのものは公表されていません。「同時に行うフェイスリフトとCO2レーザー施術:安全な手技か?」と問いかける題の論文では、100人超を1〜36か月追跡し、適切な周術期管理のもとで懸念されていた合併症は一切起きなかったとされています。RSVP法(血管穿通枝温存的若返り術)と名付けられた術式は、剥離範囲をあえて制限することでレーザーを使えるようにしました。1990年代には、皮弁の問題をレーザーではなく剥離のほうを減らして解決していたわけです。
フラクショナル機器が登場して前提が変わり、実際のデータも出てきました。広頸筋の上の層を広く剥離したフェイスリフトの患者86人に、持ち上げた皮弁の上からフラクショナルCO2を20mJで照射した報告があります。全例が1週間で完全に再上皮化(re-epithelialization)し、皮弁の脱落も治癒の遅れも起きていません。2週間を超えて続いた紅斑は4.6%で、いずれも5週間までに引いています。対象は全例フィッツパトリックⅡ型でした。皮下フェイスリフトとフラクショナルCO2を併用した80人の報告では、拡張性血腫が5%、部分壊死が1.25%、ヘルペス感染が1.25%、肥厚性瘢痕が1.25%でした。ただしこの論文は、レーザーによる合併症と手術による合併症を分けていません。
2025年にカルテをさかのぼって調べた報告では、フェイスリフト169人のうち105人が同じ麻酔の間にハイブリッド・フラクショナルレーザーを併用していました。CO2ではなく、エルビウム(2940nm)と1470nmを組み合わせた機器です。合併症はレーザー併用群で7.6%、非併用群で3.0%で、統計的有意差には達しませんでした。見落とせないのは手技の記載です。この研究では皮弁の縁を越えて照射せず、縁の2〜3mm手前で照射を止めていました。つまり、同日照射が安全だという根拠に読めるこの論文も、リフトした皮膚そのものではなく、その隣の皮膚にレーザーを当てていたのです。
合併症を扱った別のレビューの一文にも、同じ条件が付いています。安全性を裏付ける最近の臨床報告は、ディーププレーンまたは限定的な剥離によるフェイスリフトについてのものだ、という書き方です。併用するレーザーは、従来型CO2、フラクショナルCO2、エルビウムです。ディーププレーンか、剥離が限定的か。決め手は皮弁の種類です。
早見表
| 手法 | エビデンスが示すもの | どこで妥協しているか | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 同日・フェイス全体・完全アブレーティブ | 1990年代の報告群は前処置つきで安全と報告、合併症率は非公表。ブタの実験では0日目の照射で組織が脱落 | 剥離範囲を狭めるか、皮弁本体にレーザーを当てないことで成り立たせている | 剥離範囲が最小限のスキンオンリー・リフト、色白の肌。現在はほとんど行われない |
| 同日・フラクショナル・皮弁の上に照射 | 86人、20mJ、皮弁の脱落なし、全例フィッツパトリックⅡ型 | 厚い広頸筋上皮弁が前提。フィッツパトリックⅢ〜Ⅴ型のデータなし | 皮弁が厚いディープリフトで色白の肌、両方の手技に熟達した執刀医 |
| 段階的・7日目〜14日目・表層フラクショナル | 皮弁の灌流は1週間で基準値に回復。ブタの実験では7日目に照射した皮弁は未処置の皮膚と同じように治癒。人で間隔を比べた試験はない | 生理学的な根拠と表層のみの照射に頼っていて、人を対象にした公表報告があるわけではない | 10〜14日間滞在するディーププレーンの患者。私が実際に行っている方法 |
| 段階的・3〜6か月後 | 特定のエビデンスなし。皮膚は完全に落ち着き、瘢痕も成熟している | 数か月待つ代償に見合う利点の記録はない。多くの患者はそのために再来院しない | 早めに帰国した患者、喫煙者、執刀医が皮膚の落ち着きを先に確かめたい患者 |
完全アブレーティブCO2は、時期にかかわらず、私の患者さんには使いません。理由は皮弁だけでなく肌質にもあります。非フラクショナルCO2レーザーはフィッツパトリックⅣ型以上には推奨されないとされていて、私がリフトする顔のほとんどはⅢ型かⅣ型です。
執刀医のやり方:DEKA DUOGlideでのCoolPeel、7日目から14日目の間に
私が使っているレーザーはDEKA DUOGlideです。10,600nmのCO2光源と1540nmの光源を載せたデュアル波長機で、メーカーがPSD(パルス形状設計)と呼ぶ技術によって複数のパルス形状を選べます。フェイスリフトの患者さんに使うのは、そのうちのH-Pulseだけです。高ピークパワー・短パルスのモードで、スキャニングハンドピースから、互いに離れたマイクロコラムが格子状に並ぶ形で照射されます。
ここで呼び名を整理しておきます。CoolPeelは、DEKA社と米国の代理店がSmartXide Tetraプラットフォーム上のこのH-Pulseモードに付けた施術名です。DUOGlideの製品ページには、CoolPeelという語は出てきません。この記事でCoolPeelと書くときは、Tetraでその名前で提供されているのと同じパルス、同じ表層向けの施術を指す略称として使っています。機器そのものの説明はメーカーの資料によるもので、ここから先に書くことは私自身の判断です。

タイミングと、なぜ7日目なのか
皮膚の縫合糸は、およそ1週間で抜糸します。ヘモスタティックネットは3〜4日目に、ドレーンは1〜2日目に、もう外れています。7日目には皮弁が柔らかくなって左右もそろい、公表されている灌流曲線の上でも本来の基準値に戻っています。
レーザーを当てるのは、早くてもこの7日目からです。遅くとも退院日、だいたい14日目までに済ませます。日本から手術のために渡航してきた患者さんにとっては、退院日は帰国便の前日に当たります。
セッションは1回だけです。フェイスリフトの患者さんを、何回も続けて照射するために呼び戻すことはしません。ここでの目的はリフトに添える表面の仕上げで、回数を重ねる瘢痕治療とは違うからです。
このタイミングが何に基づいているかは、はっきりさせておきます。フェイスリフトから段階的レーザーまでの間隔を、人で調べた研究はひとつもありません。根拠は3つです。ひとつは先ほどの灌流曲線。もうひとつは、私が使うものよりはるかに深いレーザーで、安全の境目を1週間に置いたブタの実験。そして、SMASを伴うディーププレーンの皮弁では、皮膚の脱落が1%未満にとどまるという事実です。皮下(皮膚だけ)のフェイスリフトでは、およそ3.6%です。しかも私が当てているのは、古典的なレーザー・リサーフェシングというより、ピーリングに近いほど浅い施術です。
喫煙している方、糖尿病のある方、7日目の皮弁の見た目に気がかりな点がある方は、日程を6週目の受診に移します。設定条件は変えません。もともと下限だからです。6週目はどのみち傷跡を確認する時期で、喫煙者にお願いしているニコチンゼロの4週間も過ぎています。そのころには、7日目に気がかりだった皮弁も、問題があるのかないのかがはっきりしています。
設定条件
顔は4W、マイクロコラム間隔800マイクロメートル、SmartStack 1、単回パスです。CoolPeelとして標準的な設定で、ここから下げることはしません。とても色白で肌に厚みがあり、質感をもっとしっかり改善したい方に限って、顔の出力を5Wに上げます。設定を変えるのはこの場合だけです。
首は、フェイスリフトと同時にネックリフトを受けた方に限って照射し、3W、間隔850マイクロメートル、SmartStack 1、単回パスとします。首で出力を下げて間隔を広げるのは好みの問題ではありません。首の皮膚の構造に理由があり、それはリスクの節で説明します。
このモードを選ぶ物理的な理由は、メーカーの資料ではなく教科書に書かれています。余計な熱損傷を与えずに皮膚をアブレーションするには、CO2レーザーのパルス幅が1ミリ秒未満でなければなりません。連続波の照射では1パスで400〜500マイクロメートルが削られますが、高エネルギーのパルス照射なら20〜100マイクロメートルだけです。従来型CO2が残す熱損傷は100〜150マイクロメートルで、エルビウムレーザーでは10〜40マイクロメートルにとどまります。H-Pulseは、マイクロコラムひとつあたりの照射時間(ドウェルタイム)を短くするためのモードです。
この原理を扱った査読論文は1本しかありません。そこでも、DEKA社のHighPulseモードはアブレーション部位の外への熱の広がりを抑えることを目指していると、慎重な書き方にとどまっています。測定結果ではなく、設計の狙いです。CoolPeelのパルス幅や残存熱損傷を数値で示した査読済みの組織学的データは公表されておらず、私もその数値を作ることはしません。言えるのは、このモードの狙いまでです。熱をマイクロコラムの中にとどめて、血流を取り戻したばかりの皮弁に広げないことです。
レーザーが当たる場所・当たらない場所
基本は顔全体です。額、頬、そしてリフトの効果がいちばん届きにくい口周りと目の周りの皮膚です。首はネックリフトを受けた場合だけ、首用の設定で照射します。
切開線を越えては照射しません。このセッションでは、耳前部・耳介後部・側頭部の傷跡の手前で止めます。理由はふたつです。ひとつは、7〜14日目の傷跡はまだ閉じたばかりの創で、手術瘢痕に早めにレーザーを当てた臨床研究も、始めたのは1週目ではなく3〜4週目からだということ。もうひとつは、6週目の受診で、何も手を加えていない状態の傷跡を評価したいことです。ディーププレーンの傷跡は、ほとんどが何もしなくて済みます(傷跡と治癒についての記事を参照してください)。
行わないこと
フェイスリフトの患者さんには、どの時期でも完全アブレーティブCO2は使いません。パルスを重ねて照射することも、仕上がりを欲張って首に2パス目を当てることもしません。
次の3つに当てはまる方には、この時期のCoolPeelは行いません。ケロイドの既往がある方。イソトレチノインを服用中、または最近まで服用していた方。ヘルペスの病変が出ている方。イソトレチノインについての私の基準は現在のエビデンスより厳しく、その理由はリスクの節で説明します。それでもこの基準を守るのは、判断を誤ったときの代償が、4時間かけて仕上げたばかりの顔に残る傷跡だからです。
セッションに鎮静は要りません。局所麻酔クリームを顔に30〜40分塗り、きれいに拭き取ってから照射します。照射そのものは数分で終わります。
口唇ヘルペスの既往があってもなくても、全員に抗ウイルス薬を予防投与します。バラシクロビル1回500mgを1日2回、レーザーの前日から7日間です。教科書的な標準レジメンは14日間です。ただ今回の照射は単回で表層だけなので、治癒(再上皮化)が数週間ではなく数日で終わります。そのため私は7日間で処方しています。既往のない方にも投与する理由は、安全性の節で説明します。

韓国人・アジア人の肌における色素沈着はどうか
フィッツパトリックⅢ型・Ⅳ型の顔では、炎症後色素沈着(PIH)が軽く見られない合併症です。アジア人の肌にフラクショナルCO2を当てた後の発生率は報告上かなり高く、照射の手順そのものを、色素沈着を避ける前提で組む必要があります。
アジア人25人に、深くまで届くにきび瘢痕用のモードで1回照射した報告では、24%が1か月の時点で炎症後色素沈着を起こし、6人中5人は3か月までに引いています。CO2レーザー後の炎症後色素沈着を扱った14研究をまとめたレビューでは、未治療での発生率が75〜93%に達します。
ただ、これらの報告の患者群はより若く、照射もより深く、目的は瘢痕治療でした。フェイスリフトの患者さんにそのまま当てはまる発生率ではありません。それでも、アジア人の顔を、86人の報告に出てくるフィッツパトリックⅡ型の顔と同じように扱うことはできません。
役に立つのは、何が色素沈着を招くのかを調べたデータのほうです。フィッツパトリックⅢ〜Ⅳ型の中国人患者を対象にした、顔の左右で条件を変える無作為化試験(スプリットフェイス試験)があります。高エネルギー・低密度、低エネルギー・高密度、その中間の3群を比べたものです。色素沈着は、密度を上げた2群で20側中4側に出ました。ハイドロキノンを使った20側では、1側も出ていません。いずれも6か月までに引いています。高エネルギー・低密度の群では、色素沈着は出ませんでした。
この試験の組み方ではエネルギーと密度が一緒に動いているので、ふたつの要因を完全には切り分けられません。それでも向きは、この分野のほかの知見と一致しています。細かいコラムを密に並べると表皮が広く熱を受け、まばらに並べればそうはなりません。だから私は、間隔を800マイクロメートル、パスを1回にしています。
DEKA HighPulseプロトコルを扱った査読論文は1本だけで、機種はDUOGlideではなくSmartXide Puntoという別のDEKA機種です。フィッツパトリックⅠ〜Ⅳ型の38人が対象で、どの肌タイプでも炎症後色素沈着は報告されていません。紅斑は50%で、肌タイプによる差はありませんでした。浮腫は24%です。小規模で、別のDEKA機種での研究です。Ⅴ型は含まれておらず、設定条件も一切書かれていません。韓国人の患者さんに安全を保証する材料にはなりませんが、このモードが設計どおりに働いているという見方とは矛盾しません。
色素沈着への私の対策は、多くありません。まず、先に述べた理由から照射は浅く、まばらにします。日焼け対策はセッション後4週間、お勧めではなく必須です。毎朝SPF50以上を塗り、お昼にも塗り直し、この期間はわざわざ日に当たることは避けてもらいます。色素沈着が出てくる時期は、この4週間でほぼ押さえられます。これを守れない方には、この時期のレーザーは行いません。
7〜14日目のセッションの前に、ハイドロキノンやトレチノインで前処置はしません。皮膚は手術を受けたばかりで、施術そのものも軽いので、これまで必要になったことがないからです。例外は、肝斑の既往がある方と、過去のレーザーで色素沈着を起こしたことがある方です。この場合も前処置はしませんが、美白剤は、照射した皮膚が閉じた時点、つまりレーザーのセッションからだいたい5日後にすぐ使えるように用意しておきます。3週目まで色素沈着が出るかどうかを様子見するのではなく、先に手元に置いておくわけです。
実際に色素沈着が出てしまっても、報告されている経過を見れば心配はいりません。レーザーによる色素の変化はたいてい3〜4か月以内に引くとされています。外用の美白剤が役に立つのは、まさにこのときです。

あなたはどのタイプか
どのタイプに当たるかは、年齢ではなく肌の状態で決まります。
頬は引き上がったのに、上唇のしわが残っている方。 口周りのしわは真皮にあり、リフトはそこまで届きません。7〜14日目の照射は、まさにこういう方のためのものです。
首が重く、ちりめん状の肌が残っている方。 ネックリフトで動かすのは広頸筋(プラティスマ)です。その上のちりめん状の肌には首用の設定で1回だけ当て、それ以上強くはしません。首は顔より瘢痕になりやすいからです。
喫煙している方。 皮弁のリスクは、吸わない人の12倍を超えると報告されています。この方の場合、まず問題になるのはリフトそのもので、レーザーは皮弁が無事だと分かるまで待ちます。通常の7〜14日目ではなく、6週目の傷跡の受診まで先送りにします。喫煙者のフェイスリフトについて書いた記事も参照してください。
肝斑の既往、または過去のレーザーで色素沈着を起こしたことがある方。 この場合も、まばらで浅いパスが正解です。前処置はしませんが、美白剤をレーザーのセッションからだいたい5日後に使えるように用意しておき、色素沈着が出てくる1か月の時点でもう一度診せてもらいます。
他院でフェイスリフトを受けて、レーザーだけを希望する方。 6か月以上たっていれば、皮弁の問題は関係ありません。通常の光老化の治療として考えます。多くの顔では、アブレーションよりスキンブースターやエネルギー機器による引き締めのほうが合っています。
本当に気になっているのは質感で、それを治したくてフェイスリフトを考えている方。 カウンセリングで見極めが必要なのは、この方です。位置は保たれていて、衰えているのは表面だけ、という顔にリフトは要りません。この見極めについては、年代ごとの老化を扱った記事で詳しく書いています。
レーザーを7日目から14日目に加えると回復はどうなるか
すでに回復途中の顔に、2〜3日のピンク色の赤みが加わるだけです。滞在日数は延びません。
CoolPeelのセッションそのものは数分です。直後の照射部位は日焼けしたように見え、その日いっぱいはつっぱり感が続きます。2日目と3日目は赤みを帯びて、少しざらついて見えます。マイクロコラムが閉じていく途中の状態です。4日目ごろには、ミネラルメイクで隠せるようになります。
DEKA HighPulseモードの研究では、紅斑が対象患者の半数に見られ、肌タイプによる差はありませんでした。浮腫は4分の1に出ています。
フェイスリフトの流れの中では、レーザーは執刀医が関わる処置の最後、帰国便の前に入ります。7日目に抜糸、7〜14日目にレーザー、14日目ごろに退院という順番です。すぐに帰国しないほうがよいのは、感染が起きやすい時期があるからです。フラクショナル・アブレーティブレーザー治療525件の報告では、感染は2.9%に起き、そのうち93%が最初の2週間以内に発症しています。その2週間をソウルで過ごしていれば、感染が始まったその日に私が診察できます。

日焼け対策は、滞在の日程が終わってからも続きます。フェイスリフト後の赤みもレーザー後の赤みも自然に引いていきます。ところが、レーザーを当てた皮膚が3週目に日光を浴びて出た色素沈着は、そう簡単には消えません。だから退院のときには、日焼け止めのことだけは念を押してお伝えします。
執刀医の視点
執刀医の視点:きれいに仕上がったリフトの1年後に
きれいに仕上がったリフトから1年たって戻ってきて、「肌がまだ疲れて見える」とおっしゃる患者さんがいます。手術が失敗したという話ではありません。手術が一度も触れていない層の話をされているのです。
誠実なやり方はこうだと思っています。手術の前に、そのことをお伝えしておく。気になっていることのひとつひとつが、どの層の問題なのかをはっきり言葉にする。そして、患者さんがまだ目の前にいて、皮弁が自力で血流を保てると分かったばかりのうちに、表面の治療を済ませてしまうことです。
念のため6か月待つ、というのは慎重で責任ある判断に聞こえます。ただ実際には、そのまま表面が一度も治療されずに終わることがほとんどなのです。
リスクは何か、何に注意すべきか
4つあります。皮弁、色素沈着、感染とヘルペス、首です。どれにも公表された根拠があり、ここまで書いた手順はそれぞれに合わせて組んであります。
皮弁。 取り返しがつかないのは、皮弁の遠位端で起きる皮膚壊死だけです。場所としては、今回のレーザーをまったく当てない耳介後部の皮膚もあれば、実際に照射する頬や耳前部の皮膚もあります。動物実験では、このリスクがあるのは0日目に照射した場合で、7日目ではありませんでした。知らせてほしい徴候は、ピンクではなく、どす黒い色や紫がかった色に変わっていく部分と、3日目を過ぎても水疱ができて開いたままの部分です。皮弁の上から照射した現代の報告では、治癒の遅れは起きていません。80人の報告では部分壊死が1.25%ありましたが、原因は特定されていません。喫煙している方には、待ってもらいます。
色素沈着。 3〜6週目に出てくる茶色いしみで、多くは頬に出ます。3〜4か月で引くのが普通で、治療すればもっと早く引きます。その間に日焼けをすると、色素沈着は長引きます。
感染とヘルペス。 レーザー・リサーフェシングの後に単純ヘルペスウイルス(HSV)が再活性化するのはよくあることです。既往のない方にも予防投与が勧められているほどで、米国では成人の最大80%がウイルスを潜伏させているためです。標準レジメンはバラシクロビル1回500mgを1日2回、前日から14日間です。私が実際に処方するのは7日間で、理由は手法の節で書いたとおりです。顔に活動性の感染がある状態での照射は、レーザー治療に携わる皮膚科医・形成外科医21人の専門家パネルでは、95%が禁忌と判断しています。最初の2週間のうちに、かたまって出る水疱、広がっていく赤み、発熱があれば、帰国してからソウルにメッセージを送るのではなく、その日のうちに連絡してください。
首。 機序は教科書にも書かれています。首は顔より瘢痕が残りやすく、その理由はおそらく毛包脂腺単位(pilosebaceous unit)が少なく、真皮が薄いことにあります。毛包が少なければ、皮膚が再生するときの起点になる上皮の島も少なくなります。首を安全に治療する方法として報告されているものも、H-Pulseと同じ考え方に立っています。フェイスリフトを受けていない308人の顔と首を、90マイクロ秒のパルス・低エネルギー・スキャナーなし・2パスで照射した報告では、瘢痕も永続的な色素の変化も起きませんでした。だから首は3W・広い間隔・1パスだけとし、仕上がりを欲張って2パス目を当てることはしません。
イソトレチノイン、そして執刀医の基準がエビデンスより厳しい理由
従来のルールは、イソトレチノインをやめてから6〜12か月は、どんなレーザー・リサーフェシングも避けるというものです。根拠は添付文書と、1980年代の小規模な症例報告3件でした。
2017年の系統的レビューは、公表論文32件・施術1,485件を対象にしています。結論は、フラクショナル・アブレーティブレーザーを遅らせる根拠は不十分というものでした。一方で、完全アブレーティブレーザーと機械的なダーマブレーションは、イソトレチノインの内服中は引き続き推奨されないとしています。CoolPeelはフラクショナル・アブレーティブに入るので、このエビデンスに従えば許容されうることになります。
それでも私は、こうした方の施術を先送りにします。フェイスリフトの皮弁は、あの研究が対象にした無傷の皮膚とは違うからです。そして、待っても失うものは小さいからです。
傷跡、そしてなぜ後回しにする(場合によっては何もしない)のか
新しい手術瘢痕へのフラクショナルCO2には、十分な裏付けがあります。ただ、それらの研究で照射を始めた時期は、私の時期より何週間も後です。
フィッツパトリックⅢ〜Ⅴ型の27人をDEKA SmartXideで治療した報告があります。術後4週目から始めた3回のセッションで、バンクーバー瘢痕スケールは5.33から2.55に改善しました。色素沈着は1人に出ています。瘢痕ができてから3週目に始めた無作為化比較試験では、組織学的により整ったコラーゲンの配列が確認されました。教科書では、手術瘢痕にアブレーティブレーザーを当てるのに最適な時期は術後6〜10週とされています。
ただ、どれもフェイスリフトの切開部を対象にした研究ではありません。耳前部の傷跡に当てはめているのは文献ではなく、私自身の判断です。実際には、6週目の時点で赤みがあって少し盛り上がっているディーププレーンの傷跡には、その場でフラクショナルのセッションを行います。平らで色の薄い傷跡には何もしません。
まだ確立していないこと
フェイスリフトから段階的レーザーまでの間隔を、人で調べた研究はひとつもありません。私の7〜14日目という時期は生理学に基づいた臨床判断で、3か月待つほかの医師が間違っているわけではありません。CoolPeelのパルス幅や残存熱損傷を数値で示した査読済みの組織学的データも、公表されていません。
DEKA Tetraプラットフォームについて、機種に絞った臨床論文として最も具体的だったものは撤回されています。この分野のエビデンスの現状は、その程度のものです。フェイスリフト単独の前後で肌質を測った研究も、ひとつもありません。
色素沈着が出やすいレーザーの前後に、韓国では多くのクリニックがトラネキサム酸を内服で処方します。ただ、レーザーに絞ったエビデンスは培養細胞の実験しかありません。レーザーを当てたケラチノサイトの培養液にメラノサイトをさらすと、メラニン産生が減ったというものです。使われている根拠は肝斑治療での経験と作用機序からの推論で、臨床試験ではないのです。
「レーザーを追加できるか」ではなく「その不満がどの層のものか」を問う
リフトの相談に来られる顔には、例外なく、ふたつの層にそれぞれ別の問題があります。手術で対応できるのは、そのうちのひとつだけです。
カウンセリングで聞くべきなのは、「レーザーを追加できますか」ではありません。「気になっていることのうち、どれが位置の問題で、どれが表面の問題で、それぞれどう治療する計画ですか」です。不満のひとつひとつに層を当てた答えが返ってくるなら、その医師は顔そのものを診ています。決まったセットの提案しか返ってこないなら、顔は診られていません。
もうひとつ、聞いておいてください。「表面を治療するなら、いつ、どの皮膚に当てますか」。答えの中に血流の話が出てくるはずです。日数の話しか出てこないなら、もう一歩踏み込んで聞いてかまいません。
執筆:イ・ヨンウ医師、韓国VIP美容外科の形成外科専門医。顔面解剖と美容外科手術を専門とする。
フェイスリフト後のCO2レーザーについてよくある質問
フェイスリフト後どのくらいでCO2レーザーを受けられますか?
早ければおよそ1週間後です。顔の皮弁の血流はそのころ基準値に戻り、動物の対照実験でも、その時期に照射した皮弁はリフトしていない皮膚と同じように治りました。私自身は7〜14日目に、表層のフラクショナルパスで治療しています。3〜6か月待つ執刀医も多いのですが、ふたつの時期を人で比べた研究はありません。
フェイスリフトと同時にCO2レーザーを受けられますか?
25年前から行われている方法です。ただ、安全だと報告している現代の研究は、厚い皮弁を使う、色白の肌だけを対象にする、皮弁の縁の2〜3mm手前で照射を止める、のいずれかの条件つきです。私はこの方法をとりません。ブタの実験では、手術当日に照射した皮弁は治癒に23.9日かかり、全例で瘢痕が残りました。
なぜフェイスリフトでは小じわや肌の質感が治らないのですか?
フェイスリフトは、SMASとそこに付いた皮膚の位置を変える手術です。小じわ・毛穴・まだらな色素は表皮と上部真皮の問題で、リフトはそこをわずかに引き締めはしますが、表面そのものは治しません。外科医自身も、論文の中でこれを認めています。
CoolPeelとは何ですか、通常のCO2レーザーとどう違いますか?
CoolPeelは、DEKA社がSmartXide Tetraで提供しているH-Pulseフラクショナルモードの施術名です。DUOGlideも同じモードを載せていますが、DUOGlideの製品ページではこの名前は使われていません。マイクロコラムひとつあたりの照射時間をごく短くすることで、熱をコラムの中にとどめ、周りに広がりにくくしています。従来型CO2は100〜150マイクロメートルの熱損傷を残し、短パルスの狙いはそれを大きく減らすことです。ただし、このモードに絞った組織学的データは公表されていません。
フェイスリフト後、顔と首はどんな設定で治療されますか?
私の場合、顔は4W・間隔800マイクロメートル・SmartStack 1・1パスで治療します。5Wに上げるのは、とても色白で厚みのある肌に限ります。首はネックリフトを受けた場合だけで、3W・間隔850マイクロメートル・1パスです。このセッションでは、切開線には照射しません。
フェイスリフト後、アジア人の肌にフラクショナルCO2レーザーは安全ですか?
照射がまばらで浅く、日焼け対策をきちんと守れば安全でありうる、というのが正確な答えです。フィッツパトリックⅢ・Ⅳ型で報告されている炎症後色素沈着の率は、深いにきび瘢痕治療の後の24%から、瘢痕研究をまとめた未治療での75〜93%まで幅があります。ただ、スプリットフェイス試験では高エネルギー・低密度の群で色素沈着は出ず、DEKA HighPulseを扱った唯一の研究では38人(Ⅳ型まで)で色素沈着はゼロでした。
フェイスリフトの傷跡の上にもレーザーは当てますか?
7〜14日目には当てません。手術瘢痕に早めにレーザーを当てたエビデンスは3〜4週目からで、最適な時期は6〜10週目とされています。ただ、どれもフェイスリフトの切開部で行われた研究ではありません。6週目の時点で赤みや盛り上がりがある傷跡には、その場でフラクショナルのセッションを行うことがあります。とはいえ、ディーププレーンの傷跡はほとんどが何もしなくて済みます。
フェイスリフト後のCO2レーザーの回復期間はどれくらいですか?
すでに回復途中の顔に、2〜3日の赤みとざらつきが加わる程度です。14日目前後の退院前に行うので、滞在は延びません。DEKA HighPulseの研究では、紅斑が対象患者の半数に見られ、肌タイプによる差はありませんでした。腫れは4分の1に出ています。
喫煙している場合、フェイスリフト後にレーザーを受けられますか?
早い時期には受けられません。レビューでは、喫煙を続けている人はフェイスリフト後に皮弁を失うリスクが12.46倍高いと報告されていて、レーザーはその皮弁への2度目の損傷になります。私の場合、喫煙している方、糖尿病のある方、7日目の時点で皮弁に気がかりな点がある方は、設定を下げるのではなく、レーザーそのものを先送りにします。
リフトした皮膚にレーザーを当てた後、問題の兆候は何ですか?
ピンクではなく、どす黒い色や紫がかった色に変わっていく部分。3日目を過ぎても水疱ができて開いたままの部分。ヘルペスを疑わせる、かたまって出る水疱。最初の2週間のうちに広がっていく赤みや発熱。そして3〜6週目に出てくる茶色いしみです。最初の4つはその日のうちに連絡が必要です。色素沈着は3〜4か月かけて薄くなっていくのが普通です。
フラクショナルCO2レーザーの前に抗ウイルス薬の内服は必要ですか?
口唇ヘルペスの既往がなくても、予防投与が勧められています。米国では成人の最大80%がHSVを潜伏させていて、とくに口周りのレーザー・リサーフェシングはそれを再活性化させるからです。標準レジメンはバラシクロビル1回500mgを1日2回、施術の前日から14日間です。私の場合、単回・表層のパスの後は7日間で処方しています。
イソトレチノインを服用したことがある場合、CO2レーザーを受けられますか?
現在のエビデンス(施術1,485件を対象にした2017年の系統的レビュー)では、イソトレチノインの後にフラクショナル・アブレーティブレーザーを遅らせる根拠は不十分とされています。一方で、完全アブレーティブレーザーは内服中は引き続き推奨されません。それでも私は、フェイスリフトの患者さんの施術は先送りにします。リフト直後の皮弁は、それらの研究の対象だった無傷の皮膚とは違うからです。
首も顔と同じ方法で治療されますか?
いいえ。首は毛包脂腺単位が少なく、真皮も薄い部位です。アブレーティブレーザーの後に瘢痕が残りやすいのはおそらくそのためだと、教科書に書かれています。出力を下げ、間隔を広げ、1回のパスで治療します。対象はネックリフトを受けた方に限ります。
スキンブースターやウルセラは、フェイスリフト後のレーザーと同じ役割を果たしますか?
役割が違います。CO2レーザーは表面を作り直し、スキンブースターは数か月かけて真皮に潤いと厚みを与え、超音波や高周波は深い層を加熱して引き締めます。ちりめん状の質感や小じわには、アブレーションがいちばん直接効きます。表面のダメージがないくすみなら、最初に試す治療としてはスキンブースターのほうが向いていることが多く、色素沈着のリスクもありません。
この記事は情報提供を目的としたもので、医学的な診断や助言に代わるものではありません。手術および施術の判断は、必ず資格のある医師にご相談のうえ行ってください。
